先行するマンハッタンスカイ、そして中団からの差し切りを狙うゼンノグッドウッド、そして最後方には桜花賞馬レジネッタがデンと構える。浅見厩舎が、それぞれ脚質も違えば、個性も違う三者三様のキャラクターをスタンバイさせた。
「どんな展開になってもウチのどれかが勝つんとちゃうか」。ニンマリと笑みを浮かべながら、千引助手は自信をあらわにした。
まず勢いなら断トツでマンハッタンスカイだ。前哨戦の巴賞を勝利してのチャレンジ。「こっちの水が合うのか、調子は絶好。力のいる洋芝もピッタリだね」とは、鞍上の芹沢騎手だ。2008年には同じく函館記念で3着。しかし、今年は当時以上の調整過程にある。
「金鯱賞の後に短期放牧に出してリフレッシュした。前走のように自分の型でレースができればチャンスはある」(西谷助手)。浅見勢の中で状態面、勢いは文句なしにナンバーワンだ。
実績ではレジネッタだ。昨年の桜花賞馬で、メンバーの中でも唯一のGI馬である。
「メンバーうんぬんよりもこの馬は当日のテンションがカギ。最近はずっとイレ込んでばかりだけど、今回は現地でのレース。落ち着きさえあれば十分にやれる」と浅見助手。ひとたびツボにハマれば、全馬まとめて面倒みるシーンも。
そして、未知の魅力ではゼンノグッドウッド。
「3月に転厩してきたばかり。だからどこまで強いのか、まだわからない」と川上助手が語るように、芝に本格参戦してから今回が5戦目、札幌の芝も初体験となる。
「正直、広い阪神の方が切れ味を生かしやすいが、GIIIのハンデ戦なら能力的にも上位のような気がする」
今年、3連勝を飾った上がり馬の真価を試す機会が訪れた。もちろん、底知れぬ魅力は前記2頭を上回る。
上位独占も夢ではない布陣…真夏の戦いはこの浅見勢がイニシアチブを握る。