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『西郷どん』大野拓朗演じる西郷隆盛の右腕・中村半次郎(桐野利秋)の実像

 NHKの大河ドラマ『西郷どん』で、大野拓朗演じる西郷隆盛の右腕・中村半次郎(桐野利秋)は「人斬り半次郎」と恐れられた。

 しかし、同じ“人斬り”でも慶応元年(1865年)に打ち首、獄門となった「人斬り以蔵」(岡田以蔵:享年28)とは異なる。

 桐野利秋と名乗ったのは後年のことで、日本最初の陸軍少将となったが、明治新政府で大久保と決裂した西郷が下野するとき、桐野も鹿児島に帰り、私学校立ち上げの中核となった。最期は西郷とともに西南の役で戦死したのは有名な逸話だ。

 「人斬り半次郎」のイメージは池波正太郎の創作からである。だが、その実像は剣士、軍略家、ピストルの名人、そして農業改革者であった。

 「西郷の密偵といわれるが、実際は密偵というよりも情報戦で必要とされた敵の動きを探る、あるいは身内に潜入したスパイの探索(防諜)役として、長州の藩士等と近づき、酒を酌み交わし、動きを探る一方で、天狗党の蹶起では、指導者と会うなど大胆な行動力がありました。小説や大河ドラマでは坂本龍馬と同様『下級武士』として扱われていますが、出自は歴とした『城下士』に属していたのです」(歴史家)

 なぜ「人斬り半次郎」として知られるようになったのか。

 「剣に強いが闇雲にテロに走ったのではなく、例えば赤松小三郎の暗殺は防諜の責任者としての一種の“公務”でした。赤松は上田藩士でしたが、会津藩と親しく、私塾も主宰し、学者として京では尊敬を集めていました。しかし内偵の結果、赤松が幕府の密命を帯びたスパイであることが判明し、桐野は五条東洞院下ルで待ち伏せし斬殺したのです」(同)

 陸軍少将にまで上り詰めた理由も単純に剣術に長けていたという理由からではなく、「戦機を見るに敏であり、決断すれば神速のごとく、常に最前線で戦い、部下を叱咤し、奮発を促して勝利を収める将才を評してのことであったからです」(同)とされる。

 生前、桐野が語った言葉が、新聞『日本』に「桐野利秋談」として発表されている(明治26年)。その中で、桐野は憂国の情を吐露した。
《わが日本は東洋海中に孤立し、2500有余年の国風に慣れ親しんで、まだ5大州の情勢を熟知していない。また国力が衰え、軍備は空虚、人心は惰弱で自主独立の気象がない。いやしくもこのような因循のまま推移すれば、それほど時が経たないうちに自滅して、他国に隷属することは明らかである》

 今の日本、まさに同じ境遇を喝破しているように聞こえる。

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