社団法人日本プロ野球機構との『プロ野球の森』調印式に出席した泉田新潟県知事は、「加藤コミッショナーとも雑談で話をした」と、加藤良三コミッショナーとも『プロ野球を誘致する会』に関して話をしたことを明言した。24日に設立、20万人の署名を集めるという。
「プロのサッカーチームを作ったときも『どうかな』と言われたが、リーグトップクラスの観客動員を記録している。プロ野球選手が何人も出ているし、もともと野球熱は高い。言葉よりも切符が売れることでアピールしていきたい」。泉田知事はこう成算を語った。7月24日に開催されるオールスターは格好のアピールの場になるだろう。「準フランチャイズで」という言葉の裏には、札幌の成功例が見え隠れする。
札幌市は、当初いきなりのフランチャイズ球団招致は無理だとして、観客動員減に悩んでいた西武に対し、「準フランチャイズとして、年間数十試合してほしい」と要請。西武側も了承した。そこへ割って入った格好だったのが、日本ハムだった。本拠地・東京ドームの使用料が高く、大赤字に悩んでいた日本ハムは、札幌側の「球場使用料を安くするように配慮する」というオファーがあり、思い切って移転を決断。
「約束違反だ」と西武が猛反発してスッタモンダしたが、結局「札幌移転が失敗すれば、いよいよ球団身売りしかない」という日本ハム本社首脳の重大決意の元に、04年、東京ドームから札幌ドームに本拠地を移し、成功を収めている。それまで札幌は巨人王国だったが、今や日本ハムの本拠地として根付き、巨人のつけいる隙はなくなっている。
こういう成功例があるだけに、新潟県がいきなり高望みせず「準フランチャイズで」という目標を掲げたのもわかる。視野に入れているのは、観客動員に頭を悩ますヤクルト、横浜といった在京のセ・リーグ球団だといわれている。
横浜などは内心、新潟県移転に強い関心を持っているが、移転を危惧する横浜市側から「長期契約のあることを忘れないように」と太いクギを刺されているという。ヤクルトも神宮とは深い関係にあり、本拠地を移転するとなれば、簡単にはいかないだろう。新潟県サイドもそのへんの事情を察しての「準フランチャイズ」としての誘致で、機が熟したら、本拠地移転の誘致に切り替える作戦だろう。