「ここ数年、日雇い労働者向けの宿泊所を意味する『ドヤ』が『簡易宿泊所』となり、さらに『ゲストハウス』へと変わっている。それが他の用語にも波及しているのです」(地元記者)
「アンコ」が「労働者」「作業員」、「寄せ場」が「職業あっせん」、さらにこの春には、西成労働福祉センターが「食費宿泊費無料」を意味する「喰抜」の表示を廃止した。
「理由は、求職者と求人側を取り巻く状況が変わったため。最近は『喰抜』の意味を知らない人が増えてきたし、求人側でも使わないところが増えてきたので、そういった変化に合わせていこうということです」(同センター関係者)
しかし、ある日雇い労働者はこう話す。
「言い方変えても、寄せ場は寄せ場。隠語なんてどんな仕事にでもある話で、それをわざわざ取り上げるということの方が侮辱的や。『喰抜』を知らんというのは最近ここにきた若いやつらや。年寄りは生活保護受けてんのがほとんどやから(福祉)センターまでよう行かん。そやから知らんやつが増えてるように見えるだけ。つまり、センターが若いやつらに合わせて、年寄りを切り捨てにかかってるというわけや」
センター関係者は、無論これを否定する。しかし言い換えがセンター側の事情によるものという見方は後を絶えず、「言い換えるんならもう少し実態を見てからでもいいのでは?」(あるボランティア)との意見も。
この街に、上から目線は必要ないことは確かだ。