CLOSE
トップ > 社会 > 西成・あいりん地区で変わる“用語”

西成・あいりん地区で変わる“用語”

 西日本一の日雇い労働者のメッカ、大阪市西成区のあいりん地区で“イメージチェンジ”が静かに進行している。独特の用語、いわゆる“寄せ場言葉”を、誰もがわかる言葉に言い換えて街の雰囲気を変えていこうというのだ。
 「ここ数年、日雇い労働者向けの宿泊所を意味する『ドヤ』が『簡易宿泊所』となり、さらに『ゲストハウス』へと変わっている。それが他の用語にも波及しているのです」(地元記者)

 「アンコ」が「労働者」「作業員」、「寄せ場」が「職業あっせん」、さらにこの春には、西成労働福祉センターが「食費宿泊費無料」を意味する「喰抜」の表示を廃止した。
 「理由は、求職者と求人側を取り巻く状況が変わったため。最近は『喰抜』の意味を知らない人が増えてきたし、求人側でも使わないところが増えてきたので、そういった変化に合わせていこうということです」(同センター関係者)

 しかし、ある日雇い労働者はこう話す。
 「言い方変えても、寄せ場は寄せ場。隠語なんてどんな仕事にでもある話で、それをわざわざ取り上げるということの方が侮辱的や。『喰抜』を知らんというのは最近ここにきた若いやつらや。年寄りは生活保護受けてんのがほとんどやから(福祉)センターまでよう行かん。そやから知らんやつが増えてるように見えるだけ。つまり、センターが若いやつらに合わせて、年寄りを切り捨てにかかってるというわけや」

 センター関係者は、無論これを否定する。しかし言い換えがセンター側の事情によるものという見方は後を絶えず、「言い換えるんならもう少し実態を見てからでもいいのでは?」(あるボランティア)との意見も。
 この街に、上から目線は必要ないことは確かだ。

社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグ