異種格闘技の舞台に打って出る柔道金メダリストが進化を遂げていた。
石井は当初この時期に“人類最強の男”エメリヤー・エンコ・ヒョードルに弟子入りする予定だったが、8月に試合を控えるヒョードルサイドとの調整から弟子入りは夏以降に延期。そんな事情もあってこの日から約1カ月、米ラスベガスで武者修行することになった。
今回の武者修行先は元UFCヘビー級王者のランディ・クートゥアが主催するジム「エクストリーム・クートゥア」。同所には元PRIDEミドル級の絶対王者ヴァンダレイ・シウバもよく練習に訪れるとあって、すでに石井は「ヴァンダレイも良く来るみたいなんでやってみたい」と鼻息も荒く、早くも「とにかく(練習パートナーを)ボコボコにしたい。日本人の強さを見せつけたい」と息巻いている。
石井の格闘家としての血がうずくのも当然。米国のクートゥアのジムで練習するのは2回目で、総合格闘家に転向することが決まったばかりの昨年末にも一度訪れており、その当時から比べるとあらゆる面で格段にスキルアップしているからだ。
「空手でボコボコにしたい」。まだデビュー戦こそ決まっていないが、確実に日夜成長を続けている石井は、実はデビューに向けて本格的に空手の習得にも乗り出していた。総合格闘技の練習を重ねる傍ら、忙しい合間をぬって週3回も空手の松涛館道場に足しげく通い「打撃の練習としてやってます。ブラックベルト(黒帯)もつけてます」というのだ。
空手に目覚めたのは今春2カ月間におよぶブラジル修行を行ったときのこと。現UFCライトヘビー級王者LYOTOの父で松涛流の空手家・町田嘉三さんの道場で練習。そんな最中に空手のエッセンスを取り入れたファイトスタイルのLYOTOが米UFCの頂点に上り詰めたこともあり、大きな影響を受けた。
プロデビューに向けて準備は着々。「日本人とやりたい」と、デビュー戦から日本人対決を要求していた。