高山は昨年春のプロ引退後、プロや元プロにも出場を解禁したオリンピック憲章に基づいて、アマチュア選手としての登録申請を行い、競技者登録を求めて日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に仲裁申し立ての手続きをしていた。
しかし、連盟は「プロは生活のために戦うが、アマは教育の一環」として申請を却下。当時の山根明会長も「論外」の一言で一蹴していた。そこで高山は8月、連盟を相手に、日本スポーツ仲裁機構に仲裁申し立ての手続きを行ったのだ。
その際の記者会見では、当時、批判が集まっていた山根会長の独裁体制にも言及。「(この申し立てが)一石を投じることになれば」とも語っていた。
「頑なに反対していた連盟が急に方針転換した背景には、山根前会長の問題が影響しています。山根時代の決定を覆すことで、新体制が選手ファーストで柔軟な組織運営をしているとアピールする狙いもあるのでしょう」(ボクシングライター)
これで、元プロ王者の高山のみならず、プロの現役王者が東京五輪のリングに上がる可能性も出てきた。
「海外では、前回のリオからプロの五輪への参加が認められています。仮に、モンスター・井上尚弥や村田諒太が出場できるとなれば、東京五輪は異様な盛り上がりを見せますよ」(同)
では、この状況をプロ側はどう見るのか。
「五輪への道が開けたことで、プロ選手のモチベーションも上がるでしょう。しかし、五輪というのはアマチュアの大会の最高峰。それがプロのほうが多くなると、五輪の性格も変わってくるんじゃないですか」(大阪市内のジムの会長)
商業主義に走り、「プロの出場は全競技において一切認めない」という決断を下せない五輪の運営サイドこそ諸悪の根源だ。
五輪史上初めてプロ選手の参加が認められたリオ五輪には、2人の元世界王者を含む4人のプロ選手が出場した。日本では、現時点で東京五輪挑戦を表明している選手は高山選手ただ一人だ。