まず、今年の夏はどのような気候になりそうなのか。ジャーナリストの村上和巳氏が言う。
「梅雨が長引くのは間違いないでしょう。'09年の時と同様、長雨が引き起こす土砂災害には十分に警戒すべきです」
また、エルニーニョが発生した年は台風が少ないとも言われるが、統計を取るとそうとも限らないという。
「日本列島から遠い海域で発生し、速度も遅いため、巨大化することが多くなる。これが原因で、早い段階から大雨となる恐れがあるのです」(気象予報士)
とりわけ、九州、四国、紀伊半島はこれまで記録的な豪雨となった地域もあり、「大分、宮崎、高知、また、中小の河川がすぐ近くにある地域は要注意」(村上氏)とのことだ。
一方、不気味なのが西之島新島の活動。新島は元の西之島を飲み込み、5月末の時点で陸地の総面積は約0.86平方キロとなり、新島が昨年11月20日に確認されてから約86倍の大きさにまで拡大している。
「西之島の地下では猛烈な火山活動が続いており、今後、海底で新たな噴火が起こるかもしれません。規模にもよりますが、噴火によって津波が発生する可能性もあるのです。心配なのは通常の火山活動にとどまらず、噴火が巨大地震を誘発することです。そうなれば、当然、大津波も発生します」(琉球大理学部名誉教授・木村政昭氏)
問題は、この津波が長雨によって緩んだ地盤の日本列島を襲うことだ。
「タイミング悪く台風や集中豪雨の最中に津波が太平洋側を襲えば、被害は想定外のものとなる。'52年に発生した伊豆諸島明神礁海底噴火では、調査に向かった海上保安庁の測量船が津波に巻き込まれ31人が死亡した例もあるのです」(サイエンス記者)
今年の夏だけは大規模海底噴火が起きないことを祈るばかりだ。