「いずれも渡航歴がないことから、デング熱にかかっている外国人を刺したヒトスジシマカが媒介して、発症したとみられています」(社会部記者)
デング熱は感染すると、3〜7日後、突如発熱する。発症後3〜4日で胸部・体幹から発疹が現れ、四肢・顔面へ広がるという。症状は1週間程度で消失し、通常は後遺症なく回復するが、適切な治療を受けないと死に至ることもある。
ジャーナリストの村上和巳氏が言う。
「ヒトスジシマカは東京では越冬できないので、今回の騒動は徹底的に駆除すれば終息するはずです。しかし、沖縄のような亜熱帯地域でデング熱を持つヒトスジシマカが発生すると厄介。一気に流行する可能性があります」
昨今の地球温暖化やヒートアイランド現象により東京など首都圏の平均気温が上昇すれば、ヒトスジシマカが越冬する可能性もある。
「デング熱感染の判明後、すぐに舛添都知事が徹底駆除を表明したことからもわかるように、東京五輪に向け安全性を強く訴えなければならない。ただ、今後も外国人観光客が増え続ける中で防ぎきれるかは疑問です」(前出・社会部記者)
また、デング熱よりさらに怖いのが重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTS)だという。
前出の村上氏が続ける。
「近年、中国で流行が見られる新種の疾患です。まだワクチンもない致死率30%の恐ろしい感染症ですが、これが日本でも発生している。マダニが媒介し、感染すると発熱、嘔吐、下痢、下血などを起こし、血液検査をすると血小板減少や白血球減少などがみられます。西日本を中心に発症者が出ていますが、温暖化でさらに広がるかもしれません」
海外から持ち込まれるウイルスはまだある。
「西ナイルウイルスもその一つ。米疾病対策センターによると、もともとアフリカから中東・インドにかけて多い感染症でしたが、米国では'99年にニューヨーク市で62人が発症して死者7人を出して以来、東部を中心に毎年感染者や死者が出ているのです」(サイエンスライター)
感染すると頭痛や発熱、最悪の場合は脳炎を起こす米国での死亡例は高齢者がほとんどだという。日本では'05年、厚労省が30代の日本人男性が感染したと発表している。
「これも蚊を媒介にして人・鳥・馬に感染する。しかも、西ナイルウイルスを媒介する蚊は20種類以上に上るのです」(前出・村上氏)
何が起きてもおかしくはない。