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末期ガン告白の今井雅之「病気なんて疑いもなかった」

 大腸ガンを公表し、出演予定だった舞台「THE WINDS OF GOD」の降板を発表していた俳優の今井雅之が30日、東京・新国立劇場で行われた同舞台の公開稽古前に会見を開いた。今井は「いま、これが精一杯の声です。みなさん、聞こえていますか?」と絞り出すように声を発すると、「ギリギリまで自分の体と相談したんですけど、ドクターストップです。プラス自分でもどう見てもこれじゃあ舞台には立てないと判断しました。事務所の意向とかじゃなくて。自分の判断で降ろさせてくれと頼みました」と報道陣を前に改めて舞台の降板を報告した。

 降板を決心したのは4月の中旬頃だといい、「最初は絶対出れると信じていました。僕の好きな言葉に『夢は叶う、思いが強ければ』というのがあるんですけど、思いが弱かったんでしょうね。ドラマの撮影をやっていても立っているのがやっとでした」と述べ、「役者が舞台を降りるっていうのは本当につらいことで。舞台を降りるって決めた時は本当に悔しい気分になりました。生きていることがこんなにつらいと思ったことはありません」と話し、その後は目に涙を浮かべて言葉を詰まらせた。

 病状については「ここまで来てしまったんでこここからは本音のトークです」と切り出すと、「最初は(都内の)国立病院で腸の風邪だといわれていたんですけど、たまたま仕事で、関西の病院に行って、CTスキャンを撮ったら、大きい腫瘍が2つ3つあって、先生から『末期がんです』と言われました。『ステージ4です』と。ガンよりもっと怖かったのが、腸閉塞です。ガンで腸閉塞になって、大腸が塞がれちゃったんです。もうあと、1回2回食事をとったら腸が破裂するところでした」と説明。

 余命3日とも、持ってクリスマスまでとも宣告されたというが、その後、横浜の病院で手術を受け、今日に至るといい、腫瘍については「全部(手術で)とりました。でも、他のところにまだあやしい影があるからって。このままだと転移する可能性が大だと言われまして、これじゃあ舞台どころか生命が危ないということで、いま、ここにいたります」と今井。

 病院を転々とし、現在はとある病院に入院中で、ツークールめにさしかかった抗がん剤治療の副作用と戦う。「抗がん剤をやった人にしかわからない。船酔いしているところに42、3度のインフルエンザの熱がある感じ。ご飯出されても見ただけで嘔吐くこともありますし、一番苦しいのは食べれない眠れない、ここですね」とその苦しさも吐露。

 これまでは大病を患った経験がなかったともいい、「病気なんて疑いもなかった。自分にはないと思っていた。だから全国のみなさん、騙されたと思ってペット(PET)を受けてください。費用は高いですけど、ペットだと確実にわかるので」とカメラを通じて定期的な検診の大切さも訴えた。

 闘病を支えてくれているのは夫人で、「僕は本人なんでね。(彼女が)一番つらいんじゃないですか。冗談なんだけど、『はやく浮気できるくらい元気になってね』って僕が嗚咽している時に涙ながらに言っていて、(自分が)情けないなと思いました。代わってあげたいとも言われました」と切々とコメント。

 闘病中最も喜びを感じる瞬間は「太陽の光を浴びているとき」だといい、「太陽の光を浴びることで生かしてもらえているんだなって。自分の運命は受け入れるつもり。ただあと半年はと神様にお願いはしている」と今井。最後は「全国のファンの皆様、本当にこんなことになってしまいましたけど、僕は精一杯この仕事を命がけでやっていきますので、どうか応援よろしくお願いいたします」とファンにメッセージを送っていた。

(取材・文:名鹿祥史)

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