制作・メイン配信局は、サンテレビ。80年代、笑福亭鶴光の『おとなの子守唄』シリーズを大ヒットさせた、関西屈指の独立地方局である。80年代から関西地方で脈々と受け継がれる“サンテレビの土曜深夜(※同番組は金曜日に移動)はお色気バラエティ”という伝統を、今なおしっかり踏襲している。
昨今のテレビ業界は、視聴者のクレームに過敏で、コンプライアンスありきの制作に傾倒しがち。だが、同番組は逆走。とことん破廉恥で、知ったところで生活の役に立たない情報をふんだんに詰め込む。そもそも番組タイトルからして、おふざけ感が満載だ。“バコバコ”とは、男女の情交の隠語だからだ。昭和の時代、フジテレビをはじめとした深夜バラエティは、酒池肉林を呈して活気があった。その片りんを体感できるのが、この“バコバコ”だ。
スポンサードしている企業も、エロ一色。セクシーDVDを紹介するコーナー『監獄まっくす』は、アダルト系メディアソフトを多く扱うリサイクルショップ・買取りマックスが提供。セクシー女優の対決コーナー『あかひげセクスィバトル』は、精力剤専門薬局薬店・あかひげ薬局。個性的な老若男女とトークバトルをするコーナー『日向琴子のラブジェネレーション』は、関西で16店舗のラブホテルを展開するベストディライトグループ。とかく、エロい味方が多い。
そんななか、需要と供給のバランスに首を傾げたくなるコーナーもある。『尼神インターのめざせ!!イイ女』だ。現在大ブレイク中の女性漫才師・尼神インターは、ブサイクな誠子とヤンキー風の渚の2人組。顔も体もイマイチの誠子がビキニ姿になって、アダルト女優を相手に、さまざまなお題に挑戦する。ちなみに、誠子は経験人数が0人。「エッチ大好き❤」と微笑むと、「ヤッたことないやん」と渚からツッコまれるのが定番だ。
与えられるお題は、セクシーなティッシュの取り方、セクシーな制汗スプレーの使い方、セクシーなうどんの食べ方、セクシーなフランスパンのかじり方、セクシーなペットボトルのふたの開け方、セクシーにガムを噛む方法など、実にくだらないものばかり。それらに開脚、イキ顔、あえぎ声、淫語連発、胸ムギュ、腰クネ、上目づかい、口元のアップ、四つん這いなど、体当たりで応じる誠子。その演技力と果敢なるチャレンジ精神は、女芸人の鑑だ。想像するクオリティをはるかにしのぐ誠子の本気が垣間見られる。
当のケンコバはというと、最近はやや受動的。『監獄まっくす』のコーナーで、セクスィな看守(AV女優の香西咲)が目の前で繰り広げるアダルトパフォーマンスを至近距離で見る以外は、司会業に徹している。ケンコバに物足りなさを感じるほど、脇を固めるキャラクターが濃厚なのだ。
ちょっと薄目で観たいセクシープログラム。バカらしいが、明日への活力につながるという、予期せぬ副産物もある。やはり、エロは地球を救うのか…。(伊藤雅奈子)