昨年5月、1兆6000億円を投じてバーボンウイスキー『ジムビーム』で知られる米ビーム社(現ビームサントリー)を買収。その効果に加え『ザ・プレミアム・モルツ』や『金麦』の販売が好調で、国内ビールシェアが同社としては過去最高の15.4%に達した。前任者の存在感が大きかった分、異業種から“落下傘”で舞い降りた新社長は、自らの手柄などと胸を張れる道理ではない。
「外部から一本釣りされて社長の大役を任された手前、新浪さんはシャカリキになって突っ走るしかない」
サントリー関係者はこう語るが、4代目社長だった佐治氏が新浪氏を後継指名した昨年、情報筋の間では「しょせんはワンポイントリリーフ。彼の後任は3代目社長だった鳥居信一郎さんの長男、信宏さん(サントリー食品インターナショナル社長)で確定的」との観測しきりだった。サントリーは縁戚関係にある「鳥居」「佐治」両家出身者が経営トップを輩出してきたオーナー企業。一族と縁もゆかりもない新浪氏が社長に就いたこと自体が“事件”だったのだ。
有力後継者の鳥居信宏氏は49歳。数年間、帝王学を学んだ後、社長に就く公算が大きい。その間に新浪社長はトップを維持し“外様”の意地を見せるしかない。