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猫ひろし騒動のさなか 日本スケート連盟がソチ五輪でのメダル欲しさにカナダ人選手の日本国籍取得を画策

 カンボジア国籍を取得したお笑い芸人・猫ひろし(34=本名・滝崎邦明)が、ロンドン五輪男子マラソン代表に選出されたことには、国内でも賛否両論が渦巻いた。一部では「猫はカネでカンボジア国籍を買った」といった論調の報道も出た上、国際陸上連盟が猫の出場資格を疑問視し、事態は混迷化している。

 そんな猫騒動のさなか、国内では日本スケート連盟が14年ソチ五輪でのメダル欲しさに、ウルトラCを画策しているというのだ。

 “時の人”となったのはフィギュアスケートのペアで高橋成美(20=木下クラブ)と組むカナダ人のマービン・トラン(21)。2人は3月の世界選手権(フランス・ニース)で銅メダルを獲得。先の国別対抗戦では日本の優勝に大きく貢献した。ソチ五輪からは初めて団体戦が採用され、日本のメダル獲得には、この実力派ペアの存在が欠かせないとみられている。

 ペアの場合、五輪には2人の国籍が同じでなければ出場できない。そこで、問題になるのがトランの国籍。当初、カナダ国籍を失うことに慎重姿勢をみせていたトランだが、ここにきて、「五輪は誰もが目指す目標。日本の一員として五輪に出たいという気持ちになった」と日本国籍取得に傾いた。

 これを受けて、参議院議員で日本スケート連盟の橋本聖子会長が全面バックアップを約束。橋本会長が所属する自民党は、4月26日、党本部でスポーツ立国調査会を開き、トランの国籍取得を後押しする方針を固めた。今後は超党派のスポーツ議員連盟に働きかける。

 ただ、国籍取得には5年以上連続して日本に居住していることなどの条件が必要。トランは居住どころか、練習拠点もカナダであり、現状では100%不可能。ところが、「特別な功労のある外国人」については、国会の承認を得て許可される「大帰化」という制度がある。過去にこの制度は一度も適用されていないが、橋本会長は「トランは5年以上、日本代表として活躍してきた。今年の世界選手権では銅メダルも獲得している」と特別な功労を強調。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長も、「必要があれば政府に要請書を出したい」と支援を表明した。

 ソチ五輪でのメダル目的が見え見えのトランの帰化問題。過去に一度も前例がない大帰化が、果たして実現するのかどうか注目を集めるところ。仮に居住歴がないトランが日本国籍を取得できたとしても、猫同様、物議をかもすことは間違いなさそうだ。
(落合一郎)

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