秋のGIシリーズも中盤戦。大波乱の秋華賞に続き、菊花賞が馬単2万円台。一転して先週の天皇賞・秋は1〜3番人気が上位を独占するガチガチの決着となった。一連のGI戦線からポイントを探ってみると、主に3歳・古馬の混合戦は(1)レコードを含む高速決着(2)世代間闘争―の2つがキーワードとなって展開している。
その象徴ともいえるのが、ウオッカ&ダイワスカーレットの4歳牝馬が変則2冠の3歳馬ディープスカイを退け、究極の2センチ差勝負の叩き合いを演じた天皇賞・秋。時計は周知の通り、芝2000メートル1分57秒2という歴史的なレコードだった。
そして、この後のシーズンを戦い抜くにあたり、もうひとつテーマに上げられるのが疲労蓄積。これはエ女王杯にも当てはまる。とくに3歳馬の扱いには注意が必要だ。秋華賞はレコードに0秒3差と迫る芝2000メートル1分58秒4で決着。「3歳牝馬は低レベル」という下馬評を覆す激走を見せたが、その反動を憂慮したのか、本来なら主役を演じるはずの勝ち馬ブラックエンブレムは早々と回避。2着のムードインディゴ、そしてトールポピー、レジネッタといった秋華賞の人気馬は一応、参戦を表明しているものの、自身の能力を超えた時計で走った馬も何頭かはいるに違いない。
特に5F通過が58秒6という乱ペースを深追いした先行馬や、ハイペースを利して上位入線を果たした馬は怪しい。ましてや、レースのたびに勝ち馬がコロコロと変わる3歳世代。疲労蓄積や地力を考えると、配当面でハイリターンが期待できる穴馬はともかく、“利回り”の小さい人気馬に全幅の信頼を置くのはどうかと思う。
しかし、ただ一頭。同じ3歳馬でも別路線を歩んできたポルトフィーノだけは話は別。秋華賞は除外になったが、やむなく出走した同日の清水S(1600万、芝1600メートル)では、前半5F通過が57秒7というハイペースを引っ張ったまま中団追走。レースの上がり3Fを1秒も上回る33秒8という切れ味で他馬を一蹴。走破タイムは1分32秒5。スタート後の1Fを除けば、すべて11秒台という猛烈なラップを積み重ねたハイレベルの一戦を制した実力は素直に評価していい。
何より、強調できるのは前出の秋華賞組とは対照的に、目いっぱいの競馬をしていないこと。道中はほぼ馬なりでの追走だったしね。だから、疲労度も少ない。
ちなみに、昨年と今年では当然、馬場差はあるだろうが、去年のマイルCSの勝ちタイムは1分32秒7。記録面においても、ほぼGIレベルに達している。課題だった折り合いもクリア。これなら距離延長もOKだ。本格化した今なら、同世代の3歳はもちろん。クロフネ×エアグルーヴという超良血を考えれば、古馬の牝馬相手にも一歩もヒケを取らないはずだ。
相手本線は府中牝馬Sを経由してきた古馬勢。その筆頭は、明らかな重め残りを叩かれたカワカミプリンセス。同じく府中牝馬S3着のベッラレイアが3番手。アテにならない3歳勢は、あくまで連下まで。枠準や展開に恵まれたムードインディゴよりは、秋華賞でまったく競馬をしていない、あまり疲れていないだろうトールポピーにレジネッタが上だろうか。