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お歳暮、Xマス、正月商戦大炎上「金返せ!」老舗デパート食材偽装の裏帳簿(1)

 高級ホテル業界の飲食店メニューに端を発した食材偽装問題が、とうとうデパート業界に飛び火した。
 しかも、長く続く不況下で地道に売り上げを伸ばしてきたデパ地下・食品売り場を直撃し、大騒ぎになっているのだ。

 その端緒を社会部記者がこう明かす。
 「騒動の幕が切って落とされたのは、11月5日。この日の午後に東京・日本橋にある『高島屋』のデパ地下に、テレビクルーが殺到したのです。彼らのターゲットは、フランスの高級食品ブランド『フォション』。同店は紅茶やジャム、ケーキ、惣菜で知られる有名店だが、販売されていた『車海老のテリーヌ』にブラックタイガーを使用。これが発端となって、デパート業界の食品偽装が次々と明らかになったのです」

 その様子は凄まじい。『高島屋』が謝罪会見に踏み切るや、デパート業界は総崩れ。『三越伊勢丹』や『大丸松坂屋』、『そごう・西武』、『小田急』『京王』、『京急』『近鉄』各社が、芋づる式に偽装に手を染めていた事実を公表し、消費者を驚愕させたほどなのである。

 前出の社会部記者がこう続ける。
 「騒動の口火を切った『高島屋』は、『最初は車海老だったが試作を重ね、ブラックタイガーを使用した』『商品名の変更を忘れていた』と説明したが、あまりに人を食った言い訳と評判です。ブラックタイガーの価格は車海老の3分の1で、『客に味の違いは見極められないだろう』との欺瞞がプンプンしている。しかも他の百貨店チェーンも右に同じで、今後は安全・安心を担保してきた“デパート神話”が崩壊すると見られ、これに業界幹部らが震え上がっているのです」

 ただ、その怯えも無理もない話と言うほかはない。デパート業界は、平成不況の煽りで長らく売り上げを減少させてきた。ところが、アベノミクス効果で今年8月、9月は16年ぶりのプラスに転じ、最近は好調ぶりを見せていたからなのだ。
 「『日本百貨店協会』の発表によれば、9月の全国百貨店(85社)の総売上高は、4443億円。中でも“百貨店業界の救世主”と呼ばれてきたデパ地下をはじめとする食料品部門の売上高は25.3%で、これに食堂や喫茶を加えると全体の3割に達するのです。つまり、デパ地下とレストランは収益の要。そこに食材偽装が見つかったとなれば、主婦や女性客が逃げ出すのは当然で、お歳暮やクリスマス商戦、年末年始商戦が大打撃を被りかねない事態に陥ったのです」(民間シンクタンク関係者)

 実際、その影響は早くも現場に出始めているという。すでに始まったお歳暮商戦は、この偽装問題が原因で大混乱を招いているのだ。

 偽装が見つかったデパートチェーンの食品販売担当者はこう頭を抱える。
 「食材偽装が発覚した最中にお歳暮商戦がスタートしたが、『大丈夫なのか?』『他にも偽装があるんだろう』とのお客様からの問い合わせが殺到。さらに、デパ地下でも『この肉は牛脂注入肉じゃないわよね』とか、『本当に和牛?』『ブロッコリーはどこ産?』『偽装だったら返金してね』などと露骨に問い質す顧客が増えており、そのやり取りを聞いた別のお客様が二の足を踏んで買わずに帰るというありさまなのです。このままだと、お歳暮商戦は前年比割れどころか、リーマンショック時と同じ最悪の状態を迎えるだろうともみられているのです」

 また、その後に控えるクリスマス&年末や正月商戦にも暗雲が垂れ込め始めているという。
 「4万円もする『フォション』のおせち料理にも、車海老と偽ったブラックタイガーが使用されていたため、外商先から『今年は馴染みの料理屋に依頼する』と敬遠されるケースが激増している。クリスマス商戦も、ケーキや鳥モモ肉の照り焼きを買いにくる客が減れば、時計や衣料品、貴金属や玩具など、プレゼント商品の売れ行きが減少するのは必至。最近好調なインターネット販売も、今回の騒動で収益が暗礁に乗り上げると見られているのです」(別のチェーンの外商マン)

 要は、降って湧いた偽装問題が「1兆円」といわれる年末年始商戦に暗い影を落とし始めているのだが、これにデパート内部は、上から下まで大慌てなのだ。

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