「日産傘下入りに際し、従来、影響力を有していた三菱東京UFJ銀行、三菱重工業、三菱商事のグループ御三家が日産に対する餞別として、燃費不正に伴う将来的な損失の積み増しをし、きっちり損切りを実行したことが大きい。下半期以降は営業黒字とし、ゴーン日産支配下でV字回復をするというシナリオができています。今回の買収劇といい、益子さんの社長続投、そしてこの決算。すべてにおいてゴーン流が行き届くしたたかさはさすが」(経済誌ライター)
今回の三菱自動車買収劇では、純粋な日本の自動車メーカーが消えたという点がクローズアップされていない。日産はすでにフランスの会社。つまり三菱自動車が実質フランスに買収されたことを意味する。従来の日本型経営が黒船によってたたき直されるという典型で、その主役が“コストカッター”ゴーン社長となれば、容赦などないだろう。
当の現場の不安は募るばかり。ある三菱自動車社員は「開発部門出身の相川前社長は責任をとって辞めたのに、益子さんは日産と提携が決まっても辞めなかった。現場の士気は相当下がっています。さらにゴーン氏による次なる手に不安を抱き、退職者は後を絶ちません」と嘆く。
かつてダイムラーベンツなどとも提携をした三菱だが、いずれも三くだり半を突き付けられている。
「三菱グループからもサジを投げられた末の買収。ゴーン社長はその点をわきまえ、ドラスティックに推し進めていくでしょう」(前出・ライター)
不祥事に振り回され続けてきた三菱自動車ユーザーが、置いてけぼりにされない改革を期待したい。