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史上最悪ラスベガス銃撃事件で「加害者側」が起こした訴訟の中身

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提供:週刊実話

 昨年10月、アメリカのネバダ州ラスベガスで起きた史上最悪の銃乱射事件は、犯人のスティーブン・パドックが同地のホテル『マンダレイ・ベイ・リゾート』32階のスイートルームから、眼下にある野外コンサート会場に向けて自動式の銃を数千発発砲し、58人が死亡、546人が負傷するという大惨事だった。

 訴訟社会の米国だけに当然、事件後に数多くの訴訟が起こされた。ターゲットになったのは、犯人が宿泊していたホテルを経営するMGMリゾート・インターナショナルと、野外コンサートを開催した会場側に対する責任賠償だ。ところが…、
「被害者として現在訴訟を起こしている1997人の原告全員を相手取って、”加害者側”のMGMが訴訟を起こしたのです。ただしこの訴訟は、被害者に損害賠償などを求めるものではありません。『Support Anti-terrorism by Fostering Effective Technologies Act』と名付けられている2001年の9・11テロ事件後に成立した法律にのっとったものです。同法は連邦政府が認可した製品、サービスがテロ行為に悪用された場合、企業の製造責任追及を阻止できる点に特徴があります。9・11同時多発テロでは、凶器として航空機が使用されましたが、被害者遺族が航空会社に対して『テロを起こす製品を作った』と訴えれば、巨額訴訟となり企業倒産もあり得ることから制定されたものです」(国際ジャーナリスト)

 確かにMGMに事件の責任を負わせるのは無茶だという意見は根強い。野外コンサートでは当然ながら入り口でセキュリティーチェックはされており、犯人は会場内にいたわけではない。日本でも新幹線内殺人事件が起き、入場での手荷物検査の必要性が叫ばれたが、結局は不可能という判断になった。それと同様に、ホテル宿泊客の手荷物をすべて検査するのは不可能に近い。

 MGM側は、今回の銃乱射事件を『テロ』と認識されることを避け、野外コンサートのセキュリティーを担当していたコンテンポラリー・サービス社は、連邦政府の認可したサービス業者であるという見解のもと、この法律により賠償責任を問われないことを目的に逆裁判を起こすことを決定したというわけだ。

 そもそもネバダ州ではホテルに銃を持ち込むことは違法ではない。銃乱射をテロと判断するのか、大量殺人と判断するのかについても、意見が分かれるところであるのは間違いない。

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