ご本尊は、最澄上人が刻んだとされる、楠の霊木で彫られた十一面観世音菩薩である。ご本尊は丑、午年の10月17日から11月18日に御開帳される。なお、笠森観音は「坂東三十三観音札所」の第三十一番の札所として古来より霊場となっている。
初夏の暖かい日差しの中、笠森観音を訪問した。受けた印象は意外と、こじんまりしている印象を受けた。
駐車場から観音堂までの道程には、山を切り崩して作られた通路が風情を醸していた。案外とこう配のある階段を上っていく。入り口には、地元の老人が二人ほど階段に腰掛けて、園芸用の植木を販売していた。
通路の脇には古代から生息する様々な樹木が生い茂っていた。中でも特大の「三本杉」と看板が立つ、三本の杉の巨木が立っていた。その歴史はどんなにみても、数百年はあるかと思われる。
観音堂までは、意外と距離が短く感じられる。やがてニ天門が現れ、みやげもの売場が見えて来る。その先に観音堂が古の姿を纏ったまま佇んでいた。
観音堂は長元元年(西暦1028年)に後一条天皇の勅願により建立されたと伝えられる。その建築様式は日本で唯一の「四方懸造」として、国指定重要文化財に指定されている。
穏やかな感じを受けながら、観音堂に上る。階段にはビニール袋が置かれてあり、自分が履いている靴を脱いで、ビニール袋に入れて上る様に決められている。その脇にはビニール製のサンダルが大量に置かれていた。
観音堂の拝観料は100円である。観音堂の階段は木製の歴史が有る造りで、歩くたびにきしむ音がした。
最上階では周囲を見渡せるように通路が観音堂の本堂を囲んでいる。その周囲は「県立笠森鶴舞自然公園」に指定されており、四方はさながら大自然の景観がパノラマに一望できる。
強烈に来るパワーこそ感じられないが、其処は大自然の暖かいパワーをじっくりと感じることが出来るパワースポットだと思われた。
なお、雨天の日は閉堂している為に、観音堂を拝観するには天気に気をつけて欲しい。
(藤原真)