海外ニュースメディア「MIRROR」は2019年7月2日、オーストラリアに住む男性が、昨年12月にヤモリを口にしたことが原因とみられるサルモネラ感染症により死亡。男性の家族が、死から半年経った現在もその壮絶な死に疑問を持ち、治療にあたった病院に対し説明を求めていると報じた。
同記事によると、オーストラリアに住む当時34歳のデイビッド・ダウエルさんは2018年12月1日、クリスマスパーティー中に出没したヤモリを“度胸試し”で食べてみせ、その後体調不良で救急搬送され、同年12月11日に壮絶な苦しみの末、死亡したという。
クリスマスパーティーから2日後、ダウエルさんは激しい腹痛に襲われ、ダウエルさんのパートナーのアリラさんが救急に通報。その後、病院に搬送され入院することとなったダウエルさんは、その日のうちに「サルモネラ感染症」と診断された。サルモネラ感染症は一般的に、下痢、胃のけいれん、発熱といった症状がみられるが、ダウエルさんの症状は通常よりも明らかにひどいものだった。 ダウエルさんの尿は黒く変色し、緑色の胆汁を吐き続け、さらに腹部がひどく膨張していたという。
ダウエルさんの死から半年が経つが、ダウエルさんの家族は病院で施された処置に「もっと何か出来たのでは」と不満を持ち、死因の説明を求めているという。
このニュースを受け、ネット上では「同情の余地なし」「ふざけてヤモリを食べるなんて…当然の報い」「身体の内側から腐っていったみたいだな。痛いってレベルじゃないだろ」「かわいそうだけど同情できない」といった声が殺到。
中には、「病院の処置は正しい。適切な対応に不満を持ち続けるなんて、モンスタークレーマーみたい」「死因はサルモネラ感染症でしょう? 処置よりもヤモリを飲み込む無謀な行動が問題」と、ダウエルさんの死の責任を病院に求める家族に対し、憤りを感じる人もいるようだ。
他にも、仲間うちの悪ふざけで生き物を飲み込み、苦しい闘病の末に死亡した人の例がある。
海外ニュースメディア「CNN」は、2018年11月、オーストラリアのシドニーで生きたナメクジを飲み込んだ男性が寄生虫に感染し、8年間の闘病の末に死亡したと伝えた。同記事によると、2010年、当時19歳だったサム・バラードさんが仲間たちと飲み会をしていた際に、テーブルの上を這うナメクジを発見。友人たちと“度胸試し”をしようという流れになり、サムさんはナメクジを飲み込んだそうだ。その後、身体に力が入らなくなり、手足に激しい痛みを覚えたサムさんはナメクジに寄生していた「広東住血線虫」に感染。420日間の昏睡状態の後、意識が回復するも全身に麻痺が残り、2018年まで8年間寝たきりの生活に。そして、2018年11月に息を引き取った。
これら2つの事件のように、サルモネラ感染症や広東住血線虫症で死に至るケースは稀だと言われている。サルモネラ感染症は、サルモネラ菌に汚染された食品や患者の便、犬や猫などのペットとの接触で起こる食中毒だ。「国立感染症研究所」の公式サイトによると、汚染された食品を食べると、通常8〜48時間の潜伏期間を経て発病。症状は嘔吐や腹痛、ひんぱんな下痢を繰り返し、1週間以上に及ぶこともあるという。重症化した場合、意識障害やけいれんなどを引き起こし、生命の危機に陥るケースもあるようだ。トイレに行った後や料理をする前、ペットを触った後などの手洗いはサルモネラ感染症予防の効果もある。
一方、広東住血線虫症は、同じく「国立感染症研究所」によると、もともとネズミを宿主とする寄生虫で、その糞を食べたナメクジやカタツムリが媒介となって人にも感染。激しい頭痛・発熱・嘔吐・知覚異常・昏睡などの症状が起こる。2〜4週間で自然に治癒することが多いが、感染虫数が多く重篤な場合は死亡することもあるという。感染を回避するためには、ナメクジやカタツムリを食べないことはもちろん、カエルや海老なども生や加熱不十分な状態で食べないように、と多数の専門家が警告している。
“度胸試し”で、命を落としては元も子もない。無謀なチャレンジは、時として悲劇につながるようだ。
記事内の引用について
LIZARD DARE DEATH Man who was ‘dared to eat gecko at a party’ dies 10 days later in ‘absolute agony’ from salmonella infection
https://www.thesun.co.uk/news/9416351/dared-eat-gecko-australia-dead/
He ate a slug on a dare, became paralyzed and died
https://www.cnn.com/2018/11/05/health/man-dies-after-eating-slug-on-dare/index.html
サルモネラ感染症とは(国立感染症研究所より)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/409-salmonella.html
広東住血線虫症とは(国立感染症研究所より)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/384-kanton-intro.html