残留争いのもう一つのポイントはJ1参入プレーオフへの出場ラインとなる16位。勝ち点41の横浜F・マリノスとジュビロ磐田、勝ち点40の湘南ベルマーレ、サガン鳥栖、名古屋グランパスの計5チームがプレーオフの可能性を残して今年のリーグ最終戦を迎える。
そして、その5チームの中で唯一の直接対決となる名古屋グランパス対湘南ベルマーレはさまざまな意味で注目を集めることになりそうだ。
■最終節、予想される展開とは
全試合が同時刻キックオフとなる最終節、両チームの試合展開として予想されるのが「勝ち点1」狙いのゲーム運びと言われている。ジュビロ磐田、サガン鳥栖が大きくリードを許すなど他の3チームの試合状況によっては、引き分けに持ち込み、ともに1ポイントを上積みすれば15位以上が見えてくる。
これまでも2016年の最終節、残留を争っていたアルビレックス新潟が負けていたにもかかわらず試合途中から守りを固め、失点を防いでJ1残留を決めたというシーンがあった。また、記憶に新しいのはロシアワールドカップでの日本代表がグループリーグ突破のためにポーランド戦で1点ビハインドの状態を保ち続けた。ジュビロ磐田、サガン鳥栖は上位チームが相手となるだけに、直接対決となる名古屋対湘南でも両チームがあえて1ポイントを狙う、ともすれば互いにゴールに向かうこともない消極的な試合内容となることも考えられる。
ところで、このカードにはもう一つ、思い出されるシチュエーションがある。それは名古屋グランパスにとってはあまりにも苦い記憶になるのだが。
■名古屋に蘇る苦い記憶
名古屋グランパスが初のJ2降格を喫した2年前、同じく最終節の相手が湘南ベルマーレだった。
この2016年シーズンは開幕から低迷が続き、途中18試合にわたり勝利を逃すなど苦戦を強いられた。夏場以降、監督交代や前年に退団していた闘利王の復帰、同じく残留を争っていた新潟との直接対決での勝利など、息を吹き返して来た中で迎えた2ndステージ最終戦。既に降格が決定していた湘南を相手に勝ち点を得れば自力での残留が決まるという有利な状況に置かれていた。
しかし、ホームで行われたこの試合、名古屋は早々に2点を失う。後半にPKで1点を返すも、その後、山田直輝にこの日2得点目となる3点目を奪われた。グランパスが切り札として復帰させた闘利王が山田に振り切られての失点。決定的であり、かつショッキングな3失点目だった。多くのサポーターの目の前でグランパスは「地獄」に叩き落されたのだ。
くしくも同じように残留を懸けたシチュエーション。引き分ければ残留が近づきそうだが、どちらか勝った方は残留が確定する。一方、敗れれば参入プレーオフに回る可能性は高い。名古屋は2年前の借りを返すために勝ちをつかみにいくか、それとも他の試合状況により戦い方を選ぶのか。湘南は今季ルヴァンカップを制しており、王者としての意地とともに「湘南スタイル」で再び名古屋に屈辱を味わわせるのだろうか。
名古屋グランパス対湘南ベルマーレのJ1残留を懸けた最終節は本日12月1日、2年前と同じく名古屋のホーム・パロマ瑞穂スタジアムで行われる。(佐藤文孝)