トップガンは、米海軍航空隊で優秀なパイロットだけが選ばれるエリート校のこと。前回、クルーズは同校の所属パイロットを演じ、教官役のケリー・マクギリスと恋に落ちるが、今回は教官役を務める。
「続編は米パラマウント・ピクチャーズが来年夏の公開を予定しているのですが、同社はネット大手テンセントと提携関係にあり、テンセントも昨年12月、子会社のテンセント・ピクチャーズがこの続編に出資し、共同で宣伝を行うと発表していました。テンセントといえばゴリゴリの中国共産党系企業です。前作でマーベリックが着ていた革ジャンの背中にあった日本の国旗と台湾の国旗が、今回はなくなっていたことから、中国をヨイショするための忖度ではないかとの臆測が飛び交っているのです」(中国ウオッチャー)
背景には、中国の映画興行収入が数年以内に米国を逆転するほどの伸びを見せていることがあるという。
「ハリウッドの制作者が中国の観客や検閲を無視すれば、売り上げ的にはマイナスになるのは必至です。それほど中国市場の影響力は大きくなっています。現状、ハリウッドは、中国当局の検閲に通りやすいコンテンツを増やさざるを得ません。しかも資金面でも個々のプロジェクトや製作会社、さらに映画配給会社に至るまで投資先としてハリウッドを選ぶ中国企業が増えているのです」(同・ウオッチャー)
例を挙げれば、2015年にアリババは『ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション』に投資している。中国電影集団公司は『ワイルド・スピードSKY MISSION』に。中国のエンタテイメント企業『LeTV』も同年、ロサンゼルスにオフィスを設立した。この年4月には中国の映画製作会社『Huayi Brothers』が米国の製作会社STXエンターテインメントと12〜15本の映画を共同制作することで合意している。
また16年1月、大連万達グループは米・映画会社『Legendary Pictures』を買収し、中国の企業としては初めてハリウッド映画製作会社のオーナーとなった。ハリウッドで制作される映画が、ハリウッドに投資する中国企業によって製作され、バックに控える中国共産党に支配されるという構図が完成しているのだ。
まさに中国が世界の「トップ“がん”」なのかもしれない。