何でもその目的は、ペットの飼育放棄を課税により防ぎ、保健所等による殺処分費用をペット税からひねり出そうという算段であるらしい。
民主党税制改正プロジェクトチームが、ペット好きで「ペットは家族同様」と考えているとすれば「ペット課税」ではなく「ペット手当て」を支給してもよさそうだが、そのような考えはないらしい。
さて、現在どれくらいのペットが、一年間に保健所等で殺処分されるかというと、約40万頭である。
つまり1日1100頭近くのペットたちが、殺されていることになる。
このほとんどが野良猫や野良犬ではなく、飼い主が飼育放棄をした動物たちだという。
わたしは以前から「動物好きが動物を殺す確率が高く、虐待する確率も高い」と考えている。
何もおかしな理論ではない。「お酒好きほど酔っての失敗が多く」「車を運転する人ほど事故に自動者事故に遭いやすく」「女好きほど女を泣かせる」というのと同じことなのだ。
ペットを愛している人は、皆口を揃えて「ペット大好き」「ペットは家族同様」という。
と、すれば…、動物大好きでペットショップに勤めている人は、「子ども大好き」と言っている人が「子どもを売買」するのに等しいということになる。
そして、ペットを飼っている人は、ペットを鎖で繋いだり、狭い部屋に閉じ込めたりする。これが人間の家族なら虐待そのものとなる。
もちろん、ペットショップを非難しているわけでも、ペットを野放しにせよといっているわけでもない。
ペットを飼う人は、本当に子どもが1人増えるくらいの気持ちになって欲しいのである。
現在の日本で暮らす人がペットを飼うには、鎖で繋いだり、室内で飼わざるを得ないが、本当に我が子のように思っていれば、飼育放棄をする飼い主は少なくなるだろう。
わたしは、これまでペットを結果的に殺してしまったり、飼育放棄をする人をたくさん見てきた。
仕方のない場合もあるが、多くは「癒しや可愛いからという理由で飼いだし、結局面倒を見切れなくなってしまった人たち」であった。
ある人は、可愛いからとペットショップで衝動買いし、
ある人は、考えなしに人から貰いうけ、
ある人は、道で鳴いている子猫や子犬を拾ってきてしまう。
しかし、結局は面倒を見切れなくなり、結果的に殺してしまうことになる場合を見てきた。
現代人がなぜペットを飼うのかというと、それは使役のためではなく「可愛がる」ためであろう。
ペットから「癒し」を受けるためであろう。
あるいは自分が「ペットから必要とされるため」である場合もあろう。
しかし、ペット飼うのは大変なのだ。
ペットは生き物だから、糞便はする。発情もする。病気になり、多くの場合人間より早く死ぬ。
ペットを飼う人は、それを覚悟して飼ってほしい。
ペットが嫌いな人なら、最初から飼うことはないので、虐待する可能性は低い。
しかし、ペットを飼う人は、誰もが最初は「好き」と思って飼うのであろう。
つまり、ペット好きほどペットを虐待しやすいということになる。
そうならないように、ちゃんと面倒を見てあげて欲しいと切に思うのだ。
そしてペット好きから保健所等の殺処分費用を、課税によってひねり出そうという案には、やはりちょっと複雑な気持ちにならざるを得ないのである。
(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/