青い海面に船が浮かんでいるなかヘビのような黒い物体が泳いでいる。この写真はかつてあらゆる雑誌、テレビ番組で紹介されてきた有名な写真である(「水面に浮かぶ怪物」と紹介されればだいたいこの写真が登場する)。
この写真は1964年にフランス人航海士であるロベール・セレックとその家族が撮影したものとされる。パッと見、絵画のような鮮やかさのある印象的な写真で、浮かんだ船には人も搭乗しており、遠くには大小揃った島々が立ち並んでいる。
まさに「巨大生物島国に現る!」といった一枚であるが、この写真にはこれまで様々な捏造・フェイク説が流れている。
まず第一に怪しいとされるのは、バッチリと決まりすぎたこの構図である。前述の通り、写真には島と船が上部に配置され、下部には全長何十メートルともありそうな巨大生物がこちらへ向かってくるかのごとく泳いでいる。臨場感が満点すぎるのだ。
船に搭乗している人物はレジャーを楽しんでいるかのごとくノンビリしており通常、目の前にこのような怪物が現れたらパニック状態になり、まずは一目散に逃げ出そうとするはずである。
しかもこの船にはオールのような水面を移動する道具も見当たらないことからかなり浅瀬にいることになる。この時点でかなり怪しい人物であることがわかる(全身肌色なのでこの人物は全裸で待機しているという指摘もある。これでは怪人というより変人である)。
しかも浅瀬にいるのであれば、この怪物はいったいどこから現れたのかという疑問も湧いてくる。浅い海面でこの巨体が移動するのであれば細かい波がたち、海は多少なりとも荒れているはずである。
この写真が撮影されたとされるトリックには諸説あるが、一説には黒い布を海に流し怪獣に見立てたという説がある。確かにこれなら波は立たないし、ヌッと現れる怪獣を演出できるはずである。もっとも、布を使用した場合でも撮影にはかなりの技術が必要であったのは間違いない。
あまりに素晴らしすぎる写真ゆえにさまざまな憶測が流れるのも「UMA写真」の宿命か!?
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)