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脱法ハーブ取り締まり困難の実状

 今年上半期、麻薬に似た幻覚作用がある脱法ハーブなどの摘発件数が51件にのぼったことが、警察庁のまとめで判明した。これは16件だった前年同期と比べると実に3倍を超える。摘発者の総数も66人で、25人だった前年同期の2.6倍に増えている。
 社会部記者が言う。
 「摘発が増えたのは、12種類の物質を新たに“麻薬”に分類し、含有する脱法ハーブの吸引や自己使用目的での“単純所持”を麻薬取締法違反で摘発できるようになったためです」

 51件のうち、同法違反での摘発は19件を占め、前年同期の3件から大幅に増えた。このうち17件は、毒性や依存性が強いとして、新たに麻薬に分類された薬物を所持するなどしていたケースだった。
 「今の脱法ハーブをめぐる状況は、一時期六本木を席巻した合成麻薬とよく似ている。とにかく、脱法ハーブには何が入っているかわからない。六本木では、薬理効果が真逆のヘロインとコカインが混入しているものを吸引して死亡したケースもある。今、アメリカで騒がれている『バスソルト』は日本では『メリーちゃん』と呼ばれているが、少量で強烈な効果があり運びやすい。しかも、覚せい剤のように厳しく罰せられない。これに何らかの組織が目をつけないわけがありません」(薬物捜査が長い警察関係者)

 3月の法改正で指定薬物は大幅に増えたが、これで脱法ハーブを販売するショップを厳しく規制できるわけではない。新宿歌舞伎町では、相変らず堂々と営業を続けている。
 「指定薬物を販売していたとして摘発はできるが、起訴に持ち込むのは難しいのが現状です。やはり原因は、脱法ハーブに何が入っているか製造者しか知らないからです。仮に起訴しても裁判を維持するのは困難なのです」(同)

 かくして脱法ハーブは、ますます蔓延する気配だ。

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