芸歴29年で得た安定と安心、信頼と実績はホンモノ。吉本興業が福岡に支社を設立した第1期生とあって、売り出しにかけられるまでに時間はかからなかった。20代前半にして、またたく間にレギュラー番組をゲット。地元の福岡で知らない者はいないほどのネームバリューを誇った。
今なお、板の上に立ち続けている。結成25周年の節目以降、毎年単独ライブを実施している。その舞台裏は、これまでに積み重ねてきたコネクションを物語るように、とにかく絢爛豪華だ。「社長とズブズブの関係」を公言しているだけあって、会場には支援者、協賛、社長から届けられた差し入れが、控室に通じる長い廊下にズラリと並ぶからだ。福岡の名産品、果実、酒、菓子、調味料、肉、魚ほか。
3月2日、福岡サンパレスホテル&ホールで開かれた『博多華丸・大吉28周年記念公演』には、同期のナインティナイン・岡村隆史のほか、ココリコ、NON STYLE・石田明、パンクブーブー、バカリズム、和牛、陣内智則、さらば青春の光など、多くの有名芸能人が足を運んでいる。その舞台裏で大吉はゲストに、「詰めてね」という謎の声掛けをしていた。
ココリコ・田中直樹は久々のステージとあって、「ネタを詰めて」という意味かと思った。しかし、大吉が「詰めたら2日後に届くから」と続けたため、首を傾げた。ネタ尺を詰めると2日後に何かが届く……。次の瞬間、謎は解けた。
名産品の横には段ボールが積み上げられており、その横には配送用紙とボールペン。華大は、ゲストへの手土産が荷物になってしまうことを配慮して、配送してもらうシステムにしていたのだ。単独ライブが決定した時、まず2人で話し合ったのはここ。ネタより先に、土産を詰めることを考えたという。
人柄の良さと配慮の精神があふれ出ている華大。その円熟味は一朝一夕で身につけたものではないことが垣間見られるエピソードだ。
(伊藤雅奈子)