自公は'17年に消費税が2%アップの10%にされるにあたり、庶民に大きな影響を与える食料品などに軽減税率を動入するかどうかの議論を進めていた。しかし対象品目の議論が難航。そこで財務省は代替案として、マイナンバーカードを利用して一度10%の消費税を支払った上で、後の申請で2%分の還付を受ける還付金案を提案した。だが、これには「手続きが面倒で痛税感が大きすぎる」と、公明党やその支持母体である創価学会が猛反発。野田氏は還付金案を強く進め、自公対立が続いていた。
また、自民党内にも菅官房長官などが創価学会幹部の猛抗議を受けた上、「還付金案で進めた場合、来年夏の参院選で国民の猛反発が起きる。安保法案への国民批判もあり参院選を戦えない。これでは公明党、創価学会の選挙協力も危うい」と野田氏に反発する勢力も台頭した。
「つまり今回の逮捕劇は、以前から言動が怪しかった藤木を即座に逮捕し、これを公に晒すことで野田氏を一挙に足元から揺さぶる。そんな計画を描いた人物が自公内にいるともっぱらの噂なのです」(政治部記者)
しかし、藤木容疑者逮捕だけの材料では、野田氏を追い込むには心もとない。
「そんな折、藤木がかかわった覚せい剤ルートに複数の女性タレントの影が急浮上し、一大薬物汚染に拡大する気配が明らかになってきた。こうなると、さすがの野田氏にも還付金案を主張するどころか、税制会長職にも暗雲が立ち込めた。そのタイミングで安倍首相が宮沢洋一前経産相起用を決め、野田氏を税調最高顧問に追いやり事実上、更迭したのです」(同)
ただし、こうした動きには危うさが残る。財務省関係者がこう懸念する。
「公明党案の軽減税率を実施すれば、予定税収が約1.3兆円不足する。国の赤字が伸びている今、これをどう穴埋めするか。また自公内には、軽減税率でも品目ごとに納税を正確にするためのインボイス型方式を止め、アバウトな請求型方式という声も出始めている。これは中小業者の負担軽減のためだが、請求型は不正も起きやすい。選挙目当てで税を語ったら、そのツケは後で大きな国民負担となる」
藤木容疑者の逮捕が、巡り巡って我々の生活に影響を与えそうだ。