未完の大器ジャガーメイルを担当する渡邊雅典調教厩務員は、この10月でキャリア6年目を迎えた若手のホープ。調教助手から職変、前任者からバトンを受けたのがジャガーメイルだった。調教厩務員になるのは、以前からの希望だった。
「1頭の馬に携われるという点で、助手時代より一層、仕事にやりがいがありますね」
担当が決まって、あれよあれよという間に特別3連勝を達成。盆と正月が一緒にきたような喜びを味わった。オクトーバーSでは、ジャパンCを優勝するスクリーンヒーローを撃破するなど、3連勝の中身も濃い。
この馬の長所は? と聞いてみたところ、外見では良さは分からないという。「歩様が良くないからね。でも、またがってみると、全然違う。全身バネの塊ですよ」と、笑顔で話す渡邊さん。
“馬には乗ってみよ、人には添うてみよ”とはまさにこのことである。
重賞初挑戦は、昨年のAR共和国杯。結果はスクリーンヒーローの2着だった。これを皮切りに、香港ヴァーズ→天皇賞・春→目黒記念に駒を進めるが、(3)(5)(2)着とことごとく重賞獲りに失敗する。
「目標はジャパンC。その前に、ぜひタイトルを取りたいんです」。渡邊さんはそういって、不退転の決意を示した。
ここは目黒記念以来、約4カ月半のブランクを抱えているが、仕上げに抜かりはない。7日の最終追い切りは、5F70秒9と平凡なタイムだったが、「2週続けて速いところをやって、態勢は整っています。これでも速いぐらいですよ」と太鼓判を押した。
休み明けの成績は、天皇賞を除けば2戦2勝。鉄砲実績もある。また、2400メートルはここまで、<3010>と抜群の実績を誇る。唯一3着も、GI・香港ヴァーズだから、距離適性は群を抜く。
「相手ですか? 全馬怖いですよ。でも、チャンスは十分あります。応援してください」と笑顔で結んだ。