写真には家や町並み、手前に道が写っているのだが、問題はその上空である。町の上に広がる曇天に奇妙な白い人影が浮かんでいるのが解るだろうか。
両手を前に差し出し、少し腰を曲げて前かがみの姿勢をとっているように見えるが、問題はその大きさである。町の上に浮かんでいるのだが、下の家と比べると人影のサイズが異様に大きいことが解る。
日本では海外の心霊写真として紹介されることがあるこの写真だが、海外では「空に戻る大天使(Seraphim Angel in Sky)」と紹介されていることが多い。確かに亡くなった人の姿が写った心霊写真とは一線を画す趣きの写真であるし、空に浮かぶ人影も白いローブかコートのようなものを着ているように見える。ローマ法王の格好に似ているとも言えるので、敬虔なキリスト教徒の多い欧米の人々には天使のように見えるのだろう。
この写真は1916年にカンザスで撮影されたもの、という以外に詳細は伝わっていない。竜巻などの天体現象を撮影したものがたまたま人の姿に見える形で写ったものではないかとする説もあるが、当時大規模な気象現象は観測されておらず、また当時の技術でこのような写真が撮影可能かという点には疑問が残る。
正体不明の「天使の写真」、あなたには何に見えるだろうか。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所