長い手足に毛むくじゃらの体、座っている姿を見るにかなり大きな体をしていたと思われる。パッと見、巨大なオランウータンのようにも見えるが、注目すべきはその顔で、人間のような瞳に、歯をむきだしたかのような口はまさに猿の化物といった雰囲気ではあるが、非常にユーモラスな顔もしており(一部では「オバQ」似とも指摘される)マニアには人気の高い未確認生物のひとつである。
この写真は1929年にスイスの地理学者を中心とした探検隊が、ベネズエラとコロンビアの国境地帯で、突如木の枝をふりあげる二匹の怪物に襲われ、やむをえず発砲し殺害した後の写真である。写真を見ておわかりのように首に棒のようなものが立てかけている。これは全身を撮影するために、つっかえ棒として使用された棒である。
探検隊の話では目撃されたのはオス・メスのつがいで射殺されたのはメスの個体とされ、残ったオスは銃撃に怯みジャングルの奥に姿を消したとされる。
噂によると二匹のモノスは銃を持つ探検隊に対し、石を投げるなどして徹底交戦し、メスが自分を盾にしてオスを逃がしたとも伝えられている。
なんとも美しい夫婦(かどうかはわからないが)愛であるが、彼女らの悲劇はこれだけに終わらなかった。
あくまで噂を域を出ないが、射殺されたモノスは探検隊の手により解体され、食べられてしまったという。また、頭蓋骨のみスイスに持ち帰ろうとしたが途中で紛失してしまったようで残されたのはこの写真のみだという。
以上は、探検隊の証言によるものだが、地理学者を中心にした探検グループが正体不明の生物を食べてしまったというのは違和感が残るし、写真以外の証拠を提示していないのも怪しい。そのためモノス殺害の顛末には誇張もだいぶ入っているかと思われる。
しかし、嘘か本当かは別にしても未知の生物を「食べてしまった」というのはなかなかワイルドな話である。
実は未確認生物の世界には「食べられた」系の話はいくつか残っており、日本では巨大イノシシ「イノゴン」など多くの未確認生物発見の証拠が胃袋のなかに消えてしまっている。
食欲の秋、紅葉の季節ではあるが、あなたが未確認生物を発見した際はまずは食べずにキチンと証拠を持ち帰ろう?
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)