ショウナンアルバは休養を挟んで、破竹の3連勝を達成。まさに、順風満帆。前途は洋々としているが、課題も残った。
それは、父ウォーエンブレムのDNAを受け継いだ激しい気性。この日も、「装鞍所で鞍を置けず、厩舎に戻って装鞍した。走るからまだいいけどね」と二ノ宮師は周囲の笑いを誘った。
他馬より先に馬場入りしたのも、そうした気性を考慮してのこと。レースはオーナーメイトのショウナンアクロスが捨て身の大逃げ(前半1000m58秒5)を打って、“援護”した。仮に、スローペースになっていたら、勝敗の行方は分からなかった。
勝因は身内の援護射撃もあったが、蛯名騎手のファインプレーも見逃せない。「この先(クラシック)があるので、ケンカしてでも我慢させようと引っ張った」と道中は2番手グループの外め4番手を必至になだめながら進んだ。
「それでも、まだ力んでいたけど、前走よりはマシだった。夏に休ませたのが良かった。体も増えて(前走の若竹賞は20kg増)たくましくなった」と成長の跡を指摘する。一方、二ノ宮師も「折り合いを欠きながらも、控える競馬ができたのは収穫だった」と評価する。
もちろん、実力がなければ勝てない。それも、折り合いに苦心する粗削りな競馬で重賞タイトルをもぎ取ったのだから、潜在能力は相当高い。「これで馬の後ろで楽に我慢できるようになれば、終いはもっと切れる」とトレーナー。蛯名騎手と、二ノ宮師は二人三脚で仕上げていく決意を示した。
二ノ宮師は今から10年前、外国産馬のエルコンドルパサーで共同通信杯(積雪のため、ダート変更)を優勝している。そのエルコンドルは3歳の身でジャパンCを制し、4歳秋には仏・凱旋門賞で銀メダリストに輝いた。奇遇にも、雪に見舞われた中での初タイトル獲得は偉大な厩舎の先輩が歩んだ“蹄跡”とまったく一緒。新たなサクセスストーリーが始まった。