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高円寺を歩く(2)

【ギャラリーharuでは、てづくり展と個展】
 「たまごの工房」を後にし、坂道を抜け通りを歩いた。「Gallery・haru」の看板が見える。中では、展示棚を使ってグループ展「てづくり公団」が、壁際を使い「100点満展」(作家・竹下昇平)が開催中。

 「100点満展」は、100点のアクリル画を展示した個展。竹下昇平さんは美術活動をしている作家で、専門の学校を卒業してちょうど1年になる。付近に住んでおり、高円寺の街はよく歩く。浮かんだイメージをそのまま下書きして絵にするという竹下さんは、いつのまにか、今回の個展でも使用している0号のキャンパスのサイズで、高円寺の街を見てしまうそうだ。

【個性的なカフェや店舗】
 通りを見渡すと、ギャラリーをはじめ、古着、カフェ、古本、雑貨、あとは、何をしているのか外からではさっぱりわからない店などが目につく。カフェがそのままギャラリーになっていたり、居酒屋で静かな読書ができたりと、複数の役割を果たす店舗も多い。カフェにお茶を飲みに来た作家が店の雰囲気を気に入って、「ここでやらして下さい」と直談判し、展示会が開かれてしまうこともあるそうだ。

 居酒屋や飲食店もたくさんある。多くの店が、外に椅子とテーブルを設置している。テーブルの横に置かれた台の上には、ウインナーと目玉焼き入りの焼きそばパックが。「280円」。その場で食べるもよし、持ち帰って食べるもよしという感じだ。

【ルック商店街と、街の移り変わり】
 散策していると、いつのまにか、「ルック商店街」の中に入っていた。「流行を追わず」という看板を掲げたファッションブティックや、古本も並んでいる古着屋などが目につく。行列ができているクレープの店もある。いっぽうで、和菓子店や、骨董、小物を扱う店にも人が多い。

 すれ違う人たちのファッションは、ポリシーを感じる革ジャンから、森にいそうな女の子まで。もちろん、仕事中の人も、普段着で歩く人もたくさんいる。

 「ラーメン400円」の看板に引かれ入店した。昭和59年からこの場所で営業している店だった。昭和59年といえば、『1Q84』の天吾がアパートで小説を書いていた1984年。

 女将さんに、「ルック商店街の風景は変わりましたか」と尋ねる。「変わった。ここは新陳代謝があるから」と教えてくれた。ラーメンは、300円から始め、50円ずつ値上がりし、今は、400円とのこと。

【夜には、隠れ家でイベント】
 歩き回っているうちに、日が暮れ始めた。白んだ空はすぐに薄闇に包まれた。飲食店が賑わってくる。

 JR高円寺駅南口に戻り、「pal商店街」のイルミネーションと反対側にある路地へ入った。居酒屋レストラン「みじんこ洞」の看板があった。外観は隠れ家的な雰囲気。扉には「ミニコミ・みじんこ洞/お気軽にどうぞ!」の貼り紙と、生物の時間に習う微生物「みじんこ」のイラストが。

 「みじんこ洞」では、毎月、ミニコミ即売会イベントを開催しており、今日がイベント当日だった。ミニコミとは、紙媒体を利用した自主メディア出版物のことをいう。「みじんこ洞」にミニコミ好きな店員の方がいて、即売会を開催したり、無料配付冊子であるフリーペーパーを設置したりしているそうだ。

 中に入ると、即売ブースに、一般の書店には並ばないミニコミ誌が並べられていた。値札も、ラベルも、手書きが多い。「展示のための器具や、ちょっとしたプレートとかなら、みんなその場でつくってしまう」人たちが、ミニコミを持って納品に来るそうだ。

 その日のイベントでは、ミニコミに関するトークライブが開催され、高円寺の夜がふけていった。(竹内みちまろ)

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