「あそこまでいったら勝ちたかったという思いはある。それになぜ、牝馬に負けるんだという気持ちも…。だけどウオッカとダイワスカーレットは別格の存在だとも思うし、3歳の代表としていい競馬ができたんじゃないかな。よく走ってくれている」
静かな口調に力を込めながら、そう振り返ったのは前走の天皇賞・秋だ。神戸新聞杯を快勝しながら菊花賞に向かわず、現役最強馬決定戦へ挑んだ。ディープインパクトのようなデビューから突出した実績を残した馬が見当たらず、周囲からは「今年の3歳馬は弱い」と揶揄する声も聞こえてきた。だが、それでも、あえて身を投じた厳しい戦い。それは、辛口な世代論への反発のようだった。
3着。確かに敗れた。ただ四位は今までと違うスタイルで戦えたことに光明を見いだした。「攻める競馬ができたから」。道中は5、6番手を確保した。内枠で包まれるのを嫌い、いつもの末脚勝負を捨てて好位に取りついた。「向正面では折り合いを欠いてしまったし、それでいてあそこまで接戦に持ち込めたんだから」と、ハナ+クビ差の激戦を評価した。
ジャパンCは極限の底力が要求される。ただ、逃げるだけ、追いこむだけでは勝てないことは歴史が証明している。だからこそ四位は、結果より内容を重んじた。
デキも文句なしだ。20日に栗東坂路で行われた1週前追い切りは、2本目に800メートル52秒9→38秒1→12秒9。ハードに追われた。「最近の坂路は時計がかかるからこれで大丈夫。無事にきているし、この前より良くなっている。もう最後の追い切りは手控えてもいいんじゃないかな」
やれる。四位はうなずいた。ダービーを制した東京のチャンピオンディスタンス。3歳王者の底力を示すのに、舞台も不足はない。「天皇賞からジャパンC、そして有馬記念へ。王道で結果を残したい」。若い力と、最も高い頂へ挑む心は、いささかも折れていない。