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「事件法廷」15歳少女“愛人”集団強姦事件(上)

 東京地裁で昨年12月から3月にかけ、ある裁判がひそかに注目を集めた。40席ほどの傍聴席は毎回ほぼ埋まった。傍聴人の興味をそそったのは事件そのものと背後にある特殊性だった。

 起訴状などによると、事件は2007年9月に都内で起こった。荒川区に住む被告人A(27)ら地元の不良仲間4人は深夜、知人で当時15歳の女子中学生Y子に暴行を加え、A所有のワンボックスカー内で次々に強姦におよんだとされる。
 AとY子が初めて会ったのは事件の約3カ月前。Aの友人がY子をナンパしたことがきっかけだった。そのうちに「5回前後」(Aの証言)の肉体関係を結び、AはY子を「年下の愛人」(同)として付き合い始めたという。
 異常な“愛人関係”は、Y子がAの友人B(共犯者)に5万円を受け取ったことで破たんする。5万円の返却をめぐるトラブルから事件当日、Y子はA、Bらから呼び出しを受けた。BはいきなりY子の腰あたりを蹴り、髪をつかんで車に押し込んだ。
 走行中の車内でさらに暴行を加えられたY子は全裸にされた。小さな公園前の路上に停めた車内で抵抗を続けたが、ガムテープで後ろ手に縛られ目隠しされた。Aから「やれよ」と指示を受けたC少年のあと、A、B、Dと立て続けに4人の男から強姦を受けた。Dはその数時間後にも襲いかかってきたという。

 夜が明けてもY子は連れ回され、A、B、C少年のほか、合流したAの友人Eの5人で群馬県の山中に向かった。信じがたいことに今度のドライブの目的は大麻だった。群馬でAらは大麻の収穫を行った後、せっかくだからと温泉に浸かり、東京に戻ってからようやくY子を解放したという。
 数カ月後、Y子が警察に告発し事件は発覚。逮捕監禁、集団強姦容疑で手錠をかけられた。しかし、弁護側は「客観的な証拠はない。Y子と(告発後、罪を認め少年院送致となった)C少年の供述に信用性がない」と無罪を主張した。
 法廷でのAはメモを取るなど終始落ち着いていた。小太りながらウェーブのかかった前髪を額に垂らしたインテリ風。起訴内容のイメージとはかけ離れている。
 第2回公判でY子の証人尋問がはじまった。未成年ということも考慮してか、Y子は別室に控え、裁判官、検察官、弁護人の前だけに置かれたモニターに姿が映し出されたが、傍聴席からはうかがうことはできなかった。(つづく=阿部雄二)

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