起訴状などによると、事件は2007年9月に都内で起こった。荒川区に住む被告人A(27)ら地元の不良仲間4人は深夜、知人で当時15歳の女子中学生Y子に暴行を加え、A所有のワンボックスカー内で次々に強姦におよんだとされる。
AとY子が初めて会ったのは事件の約3カ月前。Aの友人がY子をナンパしたことがきっかけだった。そのうちに「5回前後」(Aの証言)の肉体関係を結び、AはY子を「年下の愛人」(同)として付き合い始めたという。
異常な“愛人関係”は、Y子がAの友人B(共犯者)に5万円を受け取ったことで破たんする。5万円の返却をめぐるトラブルから事件当日、Y子はA、Bらから呼び出しを受けた。BはいきなりY子の腰あたりを蹴り、髪をつかんで車に押し込んだ。
走行中の車内でさらに暴行を加えられたY子は全裸にされた。小さな公園前の路上に停めた車内で抵抗を続けたが、ガムテープで後ろ手に縛られ目隠しされた。Aから「やれよ」と指示を受けたC少年のあと、A、B、Dと立て続けに4人の男から強姦を受けた。Dはその数時間後にも襲いかかってきたという。
夜が明けてもY子は連れ回され、A、B、C少年のほか、合流したAの友人Eの5人で群馬県の山中に向かった。信じがたいことに今度のドライブの目的は大麻だった。群馬でAらは大麻の収穫を行った後、せっかくだからと温泉に浸かり、東京に戻ってからようやくY子を解放したという。
数カ月後、Y子が警察に告発し事件は発覚。逮捕監禁、集団強姦容疑で手錠をかけられた。しかし、弁護側は「客観的な証拠はない。Y子と(告発後、罪を認め少年院送致となった)C少年の供述に信用性がない」と無罪を主張した。
法廷でのAはメモを取るなど終始落ち着いていた。小太りながらウェーブのかかった前髪を額に垂らしたインテリ風。起訴内容のイメージとはかけ離れている。
第2回公判でY子の証人尋問がはじまった。未成年ということも考慮してか、Y子は別室に控え、裁判官、検察官、弁護人の前だけに置かれたモニターに姿が映し出されたが、傍聴席からはうかがうことはできなかった。(つづく=阿部雄二)