TBSとダウンタウンの距離を遠ざけたのは、1992年4月から1993年3月にかけて放送された『生生生生ダウンタウン』(同)が原因とされる。当時のダウンタウンは本格的な東京進出を果たし、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)のレギュラー放送が1991年12月にスタートした時期である。注目の若手芸人として満を持して始まったのが、『生生生生ダウンタウン』であった。
タイトルからもわかる通り、この番組は水曜8時から9時の生放送で、今田耕司、東野幸治、木村祐一などダウンタウンファミリーがそろって登場していた。ただ、松本人志的には「スタッフが学校の放送部レベル」だったことに、かなり不満を持ったようだ。松本は「ごっつ」のコントや、「ガキ使」企画を見てもわかる通り、作り込んだ笑いを好む。これには事前の準備やリハーサルも必要とするため、生放送で挑むならば、相当レベルの高い仕事が求められるだろう。
さらに、生放送中に見慣れない人物がおり、浜田雅功が「お前は何者じゃい」とハリセンでツッコんだところ、それがテレビ局のお偉いさんという、笑えないハプニングも起こしてしまったようだ。番組は途中からは生放送ではなくなり、わずか1年で打ち切りとなってしまう。
そのため、ダウンタウンとTBSは険悪な関係となってしまい、2005年に『リンカーン』が始まるまで、TBSのゴールデンタイムにダウンタウンが登場することはなかった。『リンカーン』もバラエティファン的には「内輪ネタでつまらない」と評判であり、『水ダウ』の登場と成功を待たなければいけなかった。
だが、ここへ来て『クレイジージャーニー』のやらせ問題の影響で、打ち切りが濃厚といった状況になっている。そのためダウンタウン、特に松本とTBSの再びの関係悪化が気になるところだ。