A:現代の生活は何かと必需品が多く、仕事などで外出する際にはカバンが欠かせません。小旅行に行くのではないかと思われるほど、大きなカバンを抱えている人もいます。
カバンも、いろいろな種類があります。ショルダーバッグを肩にかけたり、たすき掛けにしたり、トートバッグを肩に回して持ったりしています。女性なら、ハンドバッグを肘にかけることもあります。
手に提げるにせよ、肩にかけるにせよ、たいていの人が、利き手(利き腕)の側で持つでしょう。
それは自然なことです。利き腕と反対側の手で持ったり、肩にかけたりすると、どうもしっくりいかないし、気分も落ち着かないものです。
●間接的に病気の原因にもなる
しかし、この習慣は、体をゆがませる要因になります。
特になで肩の人で、カバンをいつも右肩にかけている場合に、肩からカバンがずり落ちないよう、右肩を上に持ち上げることがあります。これを癖のように続けていると、カバンをかけていないときにも、右の肩が上がった状態になります。
体をゆがませる原因は他にもあります。でも、カバンを右手で持ったり、右の肩にかけたりするのが習慣なら必ず右の肩が上がってくるわけではなく、左の肩が上がる人もいます。
●体がゆがむと姿勢が悪くなる
ただし、いつも同じ使い方ばかりしていると、当然ですが、体に悪い影響を及ぼします。肩や首のこり、腰痛などの不定愁訴の原因にもなります。
体がゆがむと、姿勢が悪くなり、姿勢が悪くなると視線が下がります。そして、舌も下がって、口呼吸を誘発するリスクを高めます。
口で呼吸する癖は、免疫を低下させるなどして、関節リウマチなどの病気を発症する要因となります。
私は口呼吸と病気の関係を長年研究してきましたが、その中でわかったことの一つが、悪い姿勢は口呼吸の原因になる、ということです。
そんな馬鹿な、と思うかもしれませんが、本当なのです。その連鎖を断つためには、質問の方も、まず、片方の肩にカバンをかける癖を直したい。意識して左右の肩に交互にかけるよう習慣づけることが大切です。
出来れば、5分おきにかけ替えましょう。続けていれば必ず直せます。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。