キャバクラは違う。
サービスの質という個人差が天地の差、いや天と地獄の差といっても良いほどの違いがある。もちろん高級店で教育が行き届いているようなところは、安心して楽しめるが、それは少数と思ったほうがいいだろう。別のコトバに置き換えるとキャバのサービスは「超個人差」を体験できる貴重な空間だ。
ルックスの好みもあると思うが、その点を差し引いてもハナ(19歳・仮名)のヤル気のなさには苦労した。客が気を使う空間、それがキャバクラ特有の文化とはいえ、それはそれはかなりの気力を使う。いつものごとく、キャバ嬢を指名しないフリーで入店したので、ハナが席に着く時間は約15分程度の短い時間だ。ルックスの好みと違い、嬢のヤル気が無いため、非常に時間が長く感じ、心臓や胃が重たくなる嫌な感覚も襲ってくる。
大部分の客は悲しことに「お金を払ってるから楽しまなきゃ」という気分が強く、頑張ってトークを盛り上げようとする。結果、それなりに話が弾んでも、それは嬢の実力ではなく、客が気を使っただけなので、嬢の実力はいつまでも向上しない。キャバ戦は楽しいだけの空間で終われば良いが、時には外れクジを引いた劣戦を強いられることもある。
ハナ(19歳・仮名)のトークは、暗い方向へ傾きやすいので、そこを上手くフォローしなければいけなかった。決して当たりクジに変わることはないのに客が頑張る姿は、傍から見たら異様だろうな…と思いつつ、自分の表情には出さないように耐えていた。トークが終わった後は、何か憑きものが取れたような感じで足取りが軽くなった気がする。
キャバ戦記には敗北のチェックがまた1つ刻まれた。