ハシゴを外されたのはD社。関係者が語る。
「昨年秋、100人を収容できる寮(静岡県掛川市)の建設工事(費用約9000万円)に着手したのですが、年末になって突然『D社の窓口であるタイコのA元部長の自分勝手な独断なのでキャンセルする。なかったことにしてくれ』と、建設費の未払いを言い出したのです」
取材を進めると、タイコ−D社の間に、中国人女性のS氏が研修生の生活などを見る存在として介在していることが判明した。
別の関係者が語る。
「S氏は30歳半ばで、若いころの沢口靖子似の美人。タイコで現在も院政を敷いているといわれるB前社長が『特命案件』としてS氏を介在させるようにしたのです。ところが、タイコ社内ではS氏の存在は秘中の秘として扱われ、A元部長だけがそのあたりの事情に詳しかった。どうやらB前社長は研修生の寮建設まではあずかり知らぬところで、しかもA元部長主導で進められたことが気に入らないのか、とにかくひどくご立腹らしいのです。B前社長とS氏との間に何があるのかは分かりませんが…」
契約を反故にするような行為を米国本社が知れば、世界企業である本社自体が米国当局より重大なコンプライアンス違反を問われる可能性があるかもしれない。
タイコ法務部は本誌の取材に対し「契約についてはお答えできない」、S氏については「ノーコメント」と回答。
真相は法廷に委ねられることになりそうだ。