近代日本150年の歴史は、明治初頭の富国強兵政策で、日本はアジアで唯一帝国主義化に成功し、大陸進出を果たすなど成長をとげる。第1次大戦を経て植民地を持つ国となった日本だが、世界恐慌から第2次大戦に突入、敗戦ですべてが崩壊した。戦後は軽軍備経済重視の政策の中で経済成長し、再び繁栄を迎えた。
金融危機から世界大不況、100年に一度の危機といわれる今年、150年の歴史を見つめながら未来を考えることは重要であろう。
横浜開港博「Y150」は9月27日まで開催中。さきごろ開かれた開会式では中田宏横浜市長や松沢成文神奈川県知事があいさつに立ち、「開国150周年の節目に、横浜が日本全体を元気にする役割を担っている」(中田市長)などと話した。
期間中はフランス・ナントを本拠地とする劇団「ラ・マシン」によるパフォーマンスや、宇宙飛行士の向井千秋さん監修の地球環境をテーマとした催しなどが連日行われる。
開会式では、北村龍平さんが監督、映画監督の岩井俊二さんが脚本を手掛け、開国博のために独自に制作された横浜を舞台にしたSFアニメ「BATON」も上映された。期間中、約500万人の来場を見込んでいるという。
会場は、みなとみらい地区を中心としたメーン会場「ベイサイドエリア」、食やファッションの人気スポットが多い横浜駅周辺から山下・山手地区の「マザーポートエリア」、豊かな自然に囲まれた「ヒルサイドエリア」の3カ所。これらの各会場以外にも、地元商店街や自治体、市民が独自にイベントを企画し、「Y150」を浜っ子の力で盛り上げる。
メーン会場の「ベイサイドエリア」は3つの有料会場(Y150はじまりの森・Y150トゥモローパーク・NISSAN Y150ドリームフロント&スーパーハイビジョンシアター)と5つの周遊会場(赤レンガ会場=広場・赤レンガ会場=1号館・大さん橋会場・象の鼻会場・山下公園会場)で構成。海や港、歴史的な建造物を楽しみながら、体験型展示、イベント、夜間演出、グルメ、ショッピングなどが満喫できる。
「マザーポートエリア」は特に会場の設定はなく、中華街や山下・元町商店街、各文化施設が独自に「Y150」の企画を盛り上げる。ベイサイド入場券を購入すると、各施設の入場券やショップでの割り引き優待が受けられる。
「ヒルサイドエリア」はよこはま動物園ズーラシアの隣接地区、横浜動物の森公園のなかに、竹林整備事業の一環として、市民と共に伐採した竹を使った日本最大級の竹製施設「竹の海原」を中心に、里山の自然に囲まれ、市民の創り出したイベントが展開される。
従来の博覧会が官主導のイベントに終始したのに比べ、「Y150」の場合は商店街や市民が町おこしの一環として独自の立場で参加している。開国の地・横浜の持つ、多様性、創造性は確かに魅力がある。横浜から未来への希望が生み出されることを期待しよう。
◎ヨコハマの持つ「7つの力」
「共生力」=異文化や多様性を受け入れる横浜の原動力
「共感力」=地球に生きる者としての出会いと喜びを交歓する
「想像力」=創造都市としてあるべき未来を描く
「創造力」=その未来を実現する原動力となる
「交流力」=あらゆる連携を生み出す
「横浜力」=「横浜らしさ」を生み出す
「市民力」=これからの主人公である行動をする