「打倒ブエナビスタ!」を合言葉に、こん身の仕上げ。牝馬3冠の最終戦、秋華賞の大舞台に立つレッドディザイアで大口勝負だ。
立ちはだかる女王の前に、春の2冠はいずれも2着だったが、わずか3戦目のキャリアで挑んだ桜花賞が、名手・アンカツをして「おれの馬も強かったが、2着の馬も強いね」と一目置かせる1/2馬身差の大健闘。第2ラウンドのオークスはブエナも青ざめる薄氷のハナ差。2連敗でも、実力差は紙一重、いや、互角といっても過言ではない。 ひと夏越して、3度目の対決となる秋華賞は、ともに前哨戦を取りこぼしたが、蟻洞(ぎどう)で調整に狂いが生じたブエナに対して、こちらレッドはオークスからプラス10キロ。明らかにTR仕様だったローズSをステップに、陣営も驚く右肩上がりのベクトルを見せている。一矢報いて、大願成就の可能性は限りなく高い。
松永幹調教師は騎手時代、イソノルーブルやヘヴンリーロマンスといった名牝で大活躍。さらにファビラスラフインで第1回の秋華賞を制しており、牝馬のミッキーの愛称で親しまれた。
当の本人も、「これだけ攻め馬で追い込んだのは初めて。春は気性面を考えてそこまでやれなかったけど、心身ともに一本シンが入った今だから耐えられるんです。春の着差が着差だけに、最後の1冠は譲るわけにいかない」と、大一番に鬼気迫る形相だ。
逆転の美学。炎と化したレッドディザイアが、永遠のライバルの大偉業を阻む。