「アイドルの数は増えたけど、正直、お客さんの数はそこまで増えていない。少ないパイを奪い合っている状態です。今はお客さんの目も肥えているから、よほどうまく仕掛けないと頭一つ抜けることは難しい。ちゃんと運営で利益が出ているグループなんてほんのわずかですよ」
夢にまで見たアイドルになったものの、月収は3万円未満で、たった1人のファンもつかめず業界を去っていく子たちが無数にいるのが現実なのだという。
そんな中、「ドリームアイドルプロジェクト」という企画が持ち上がり、先日、そのオーディションが都内で開催された。主催者は企画意図を語る。
「アイドルユニットは大量に存在していますが、活動はほぼライブばかり。ですが、ライブだけをしたくてアイドルになる女の子たちはごくわずか。ドリームアイドルは、メジャーで活動しているアイドル並みに様々なテレビ、映画、雑誌に出ることを保証します」
そんな言葉通り、ユニットは、ファッション誌のJELLYと提携し、赤井英和主演の映画『海にのせたガズの夢』の出演が決定。更に声優の仕事も斡旋する上、デビューから1年後に赤坂BLITZ(トータル1418人収容)でワンマンライブを行うと謳っている。まだメンバーすら決まっていないのに、ここまで芸能のレールが敷かれているというのは尋常ではない。
それを可能としているのが、ユニット予算1億5000万円という莫大な資金、並びに既にアイドルプロデュースで実績のある株式会社クリーブラッツが主催しているというところにあった。
そんな大規模プロジェクトに応募してきた者の数は、なんと6,000名以上。そしてこの日、その中で選ばれた300人の女の子が会場に集まり、一人ずつ30秒間で自己PRをしたのだった。
得意の歌や空手の型を披露する子や、バク転をする子もいたり、物真似を披露する子もいたりと、あたかも一芸大会のようである。思うように自己PRができず泣き崩れる女の子も現れたほど。彼女たちにとっては、まさに人生を左右するオーディションなのだろう。中には、日本在住歴1年ほどの中国人女性も参加しており、彼女は迫力ある舞いを披露した。
「私は上海でアイドル活動をやっていました。日本のアイドルが大好きで、上海でもSNH48は大人気です。日本に来てアイドルがやりたいと思って、今回は応募しました」
会場の外で話しかけてみると、彼女は拙い日本語でアイドル愛を語った。日本のアイドル文化は異国の女性すらも惹きつけているのだ。
今回のオーディションで合格した応募者は、今後、三次面接に進み、更に強化合宿を経てデビューという道をたどるという。その栄冠を勝ち取った者のみが、トップアイドルへのスタートを切ることができるのだ。
【写真】総勢300人の応募者がずらり。審査員には各界の名のある人たちが連なっている。