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春のジャンボ・宝くじの新外国人選手

 春のプロ野球キャンプは、新外国人選手の当たり、外れに一喜一憂する、球界版スプリング・ジャンボ宝くじの季節でもある。

 阪神・真弓監督が早くも「キャンプ第1クールで目立ったのは、マートンだろう。予想とは違っていた」と、新外国人選手・マートン外野手に合格点を出している。外れ外国人選手が続く阪神だけに、うれしい誤算を思わず口にしたのだ。広島、阪神で勝負強い打撃を披露して活躍したシーツ二世の期待をされているが、まずは順調なデビューといえる。

 昨年、ポスト・ウッズとして年俸3000万円にも満たない、ドミニカ出身のブランコという掘り出し物を当てた中日は、今年はメキシカンリーグ出身のセサルを売り出そうとしている。系列のスポーツ紙が「立浪氏も太鼓判」「外野の一角決まり!」と1面で取り上げた。

 守護神を期待される楽天のモリーヨは、マイナー時代に167キロを計時したというスピード記録がセールス・ポイントになっている。巨人・クルーンの持つ162キロの日本プロ野球界最速記録超えが話題になっているからだ。実際に、久米島キャンプで「田中超えのスピードボール」と取り上げられている。
 このモリーヨ、実は「阪神が獲得」と虎党を看板にするスポーツ紙が大々的に報道。その後、楽天入りが決まった経緯がある。阪神球団、ファンとしても無関心ではいられないだろう。モリーヨが大活躍すれば、「逃がした魚は大きい」ということになるからだ。

 ソフトバンクのイ・ボムホは松田、オーティズとのポジション争いなるが、三塁守備で早くも自信喪失気味とか。通訳が「守備の話は聞かないで下さい」と担当記者にお願いしているというから、よほど神経質になっているのだろう。
 が、キャンプでの新外国人選手のスプリング・ジャンボ宝くじの結果は必ずしもシーズンに結びつかない。「ペナントレースになると、ガラリとひょう変する選手がいるからだ。1年間、ジックリ見た上でないと、最終的な結論は出せない」というのが、球界の定説だ。

 1997年、セ・リーグの本塁打王になったヤクルト・ホージーなどその典型だった。キャンプ、オープン戦の間中、まともに打球が前へ飛ばず、ヤクルト・野村監督は「こんな外国人選手、誰が取ってきたんや。すぐクビにして新しい選手を取ってこい」と、大騒ぎ、フロント批判を繰り返したが、シーズンに入れば、ひょう変して本塁打王獲得だ。
 「外国人選手は宝くじのようなもの。実際に来てみてプレーしなければ分からない。日本の野球に対する適応能力という重要な問題もあるからね」。現場の監督たちもこう口を揃えている。
 日米球界経済格差で、富めるメジャーリーガーが日本に来るケースはなくなり、マイナーリーグ出身の選手を獲得するしかなくなった今、よけいに外国人選手は、宝くじ化している。一発当てれば大きい。中日・ブランコ以上だったのが昨年の巨人・ゴンザレスだ。ヤクルトを解雇され、大きな期待も持たずに拾ったら大化けだ。エースになって、巨人にリーグ3連覇、7年ぶりの日本一をもたらしたのだから、3億円ジャンボ宝くじの当選券並みの効果だろう。さて、今年の第二のゴンザレス、ブランコは誰か。それを探すのも楽しいだろう。

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