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後5年で…アメリカでもロシアでもなく中国が“宇宙の制天権”を奪う!

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提供:週刊実話

 「尖閣や沖縄はオレのもの、そして宇宙もオレのもの」――。中国外務省は「宇宙の軍拡競争に加わるつもりはない」とかわすが、米シンクタンク関係者が入手した中国軍の内部文書『空軍軍事理論創新研究』(2010年、中国空軍指揮学院)にはこうある。「宇宙は未来の戦場だ。『制天権』を奪取しなければならない」。

 衝撃的な掟破りが起きたのは13年5月のことだ。中国四川省の西昌衛星発射センターから発射された1基のロケットは、米軍の軍事衛星や通信衛星が集中する高度約3万6000キロの静止衛星軌道に迫った。これを中国は「観測ロケット」と説明したが、米国防総省は早期警戒衛星を通じ、このロケットが通常よりはるかに高い軌道に達したのを確認したことから、これは静止衛星の破壊実験だったと判断した。

 「その2カ月後、今度は山西省の太原衛星発射センターから3基の衛星を乗せたロケット『長征4号』が打ち上げられましたが、米国の監視レーダーは、そのうちの1基が一緒に打ち上げられた別の衛星に近づき、2本のロボットアームを延ばして捕捉、その後軌道を変え、別の衛星に急接近したのです。米国防総省からの報告を踏まえ、米議会の諮問機関『米中経済安全保障調査委員会』は15年になって一連の動きを他国の衛星を攻撃する攻撃衛星(キラー衛星)の実験と結論付けたのです」(宇宙テクノロジーに詳しいライター)

 衛星は現代の軍事戦略の目であり要だが、その防御機能はないに等しい。米国家情報長官室は昨年の報告書で、中国の衛星破壊部隊が数年内に実戦能力を得る可能性があると分析し、強い警戒を促している。

 「宇宙は新たな戦闘領域だ」と言い切るトランプ米大統領の言葉の裏にあるのは、こうした「制天権」を掲げる中国の野望を打ち砕くことだ。トランプ政権は去る1月17日、新たなミサイル防衛戦略『ミサイル防衛見直し』(MDR)を発表したが、これは1980年代にレーガン大統領が打ち出したソ連を対象とする『スターウォーズ計画』(SDI)の再来と言われる。

 SDIは結果的に、軍拡がもたらす財政負担とその先に待つ宇宙戦争への懸念を米ソ双方に抱かせた。83年にソ連が衛星破壊実験の自粛を決めると、85年に米国も続き、宇宙を舞台にした衝突の危機は遠のいた。米ソは互いの衛星を破壊することが第3次世界大戦につながりかねないことを承知していたからだ。もちろん歯止めなき軍拡資金も重く肩にのしかかった。

 ところが、政権の思い通りに資金を注ぎ込める中国の開発予算は明らかにされていないが、欧州宇宙政策研究所は、その規模は80億ドル(約8800億円)と推計する。長期計画に沿って無人月探査機『嫦娥(じょうが)4号』で世界初の月面の裏側への着陸を成功させたり、宇宙ステーションの建設を進めたり、技術力も着実に伸ばしている。

 米ロや日欧などの15カ国が協力して00年に運用が始まった国際宇宙ステーション計画は、宇宙が国際協調の時代に入った象徴だ。しかし、巨額の維持費が参加国の負担になっており、2024年以降の運用は決まっていない。さらにその先は、中国が宇宙ステーションを展開する唯一の国になる可能性が懸念されている。

 宇宙制覇の沙汰もカネ次第というわけだ。

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