WBCは開催2回と歴史は浅いが、サッカーでいえばW杯のような位置づけ。これを連覇しながら侍ジャパンに配分されるスポンサー料は全体の13%にすぎない。優勝賞金と第2ラウンド1位通過ボーナスを合わせ総額310万ドル(約3億700万円)という。ここからアマチュア野球振興に使われる支援金を除き、原監督以下首脳陣と選手計36人で均等割りすると決められているため、1人あたりの取り分は4万3000ドル程度。日本円にして500万円にも満たない金額である。
ところが米国はボロ儲け。そもそもWBCは米大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会が主催しており、それぞれが収益の33%を獲得。つまり合計66%が米国に配分されることになる。
前回第1回大会の収益は推定1600万ドル(約15億5000万円)といわれる。今回はそれを上回りそうな情勢といい、仮に前回並みだったとしても最低10〜11億円は米国に流れる計算。侍ジャパンが準決勝で下したベスト4止まりの米国が“ひとり勝ち”というわけだ。無邪気にはしゃぐのがバカらしくなってくる話ではないか。
しかもWBC決勝の激戦を演じたのは日本、韓国のアジア勢。ところが決勝ラウンドは米国で開催されたため、米国は日曜日でも日本国内は月曜日の昼間。サラリーマンは営業の合間に家電量販店の大型テレビの前で歓喜するしかなかった。決勝戦に地元ロサンゼルスのリトルトーキョーやコリアンタウンの在米日本人、韓国人が大勢詰め掛けたのがせめてもの救いだった。
WBCのスポンサーになっているセブン&アイ・ホールディングスは25日から優勝セールを実施。日本マクドナルドは28日からハンバーガー類を最大120円値引きするという。しかし、いちばん儲けているのは米国というのはどうにも納得できない話である。