前走のフラワーCで2着と好走し、有り余る勢いで千載一遇のチャンスを見事に結実させたのだ。記憶の糸を手繰り寄せながら、藤原良二きゅう務員はこんなエピソードを打ち明けた。
「(オイワケヒカリの)第一印象は茄子に割りばしを刺したような、バランスの悪い馬でしたよ(笑)。でも、年が明けてから使うたびにグングン良くなり、すべてがうまく噛み合った」と、感慨深げ。
しかも、この勝利は多くの関係者に幸福をもたらした。父ダンスインザダーク(96年菊花賞)の初年度産駒で初重賞制覇を記録しただけでなく、柴崎厩舎、藤原きゅう務員そして、小林淳一騎手全員が初重賞勝ちの喜びを共有したのだった。
「これで、師匠(佐藤林調教師)の墓前に良い報告ができます」。小林淳騎手が目を潤ませながら語っていたシーンが印象的だった。
順風満帆で本番のオークスを迎えたが、結果は5着。この着順について藤原きゅう務員は、「フローラSで負かしたレディパステルに、借りを返されちゃいましたよ」と思い出し笑いを浮かべながら、「結果論になるけど、直線で狭い所に入らずスムーズに流れていたら3着はあったと思う」と、ちょっぴり悔しさも覗かせた。
しかし、孫の代まで語り草ができたのはきゅう務員冥利に尽きるというものだろう。
訂正:フローラC→フローラS。タイトルに間違えがありました、訂正してお詫びいたします。