相手は考えず、我が道を突き進むだけ。前人未到のGI8勝へ向け、絶対王者カネヒキリが冬の祭典に臨む。
前走の川崎記念では断然の1番人気に支持された。他陣営に徹底マークされるのも、いいハンディとばかり、2008年地方年度代表馬フリオーソとのマッチレースを制し、08年JRA最優秀ダート馬の貫録を見せつけた。
「あの厳しいレースを勝つんだから、さすがに強い。あれこそが力で押し切る競馬。さらに、この馬に対しての安心感は増した」。今年初戦を振り返る清山助手は、1/2馬身差以上の完勝だったと強調する。
前走後はすぐさま、このレースに照準を定めてきた。1週前の栗東坂路(11日)では、800メートル60秒3、続けて15日にはCWで5F70秒2をマークした。間隔が詰まっているだけに速い時計こそ出していないが、弾むようなフットワークは依然として健在だ。
「川崎の馬場が異常に固かったのでさすがにダメージは残った。でも、その後の回復が早く、すぐに馬場入りも再開できた。だから、それほどナーバスになって、疲れを心配する必要はない。今回も前走と同じくらいの体は維持できている」
脚元に爆弾を抱えながらも、JCダートから実にGIを3連勝した。完全に勢いを取り戻した7歳馬にとって次に目指すのは史上最多となるGI8勝だ。シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトと伝説のスーパーホースでさえ成し遂げられなかった偉業に向け、陣営も闘志を燃やしている。
「ダイワスカーレットが回避しようが、ウチにとっては関係ない。あくまでもいい状態で出走させて結果を出すだけ。スタッフ一同、この馬の力を信用しているよ」
2年4カ月に及ぶ闘病生活を経て、昨秋、不死鳥のごとく蘇ったカネヒキリ。衰え知らずの7歳馬の進化はまだまだ続く。