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台風19号で甚大な被害、大災害後に気をつけたい思いがけない7つの体調不良

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 10月12日から13日にかけ台風19号が東海から東北地方を中心に日本列島を直撃。記録的な大雨となり、広範囲で浸水や停電などによる甚大な被害を及ぼした。被災地域、被災者においては1日も早い復旧を切に願っている。

 中には、避難所生活をしいられている方もいるだろう。避難所生活に限らず、被災をきっかけに健康をむしばまれるケースもしばしば見かけられる。季節は秋にさしかかっており、それを踏まえて以下のような体調不良の心配がある。

1.水分不足
 強いストレスがかかる被災地では、トイレが整備されず、水分摂取もおろそかになりがちだ。尿路感染症やエコノミー症候群の原因にもなり得るため、こまめな水分摂取を心がける必要がある。また、飲料水は衛生面から当日に給水したものを使用すること。

2.屋内外の環境
 避難生活が長期に及ぶと布団にダニが繁殖しやすくなることから、布団や毛布などは日干しするのが好ましい。室内も定期的に清掃しよう。ゴミ集積場や水たまりでは蚊やハエが発生しやすくなるため清潔にすべきだ。

3. 感染症
 大規模災害後、手足に傷がある場合、そこから菌が感染して破傷風の発症が一定数みられる。傷口は必ず清潔にするよう心がけ、傷を保護する処置を行うことも必要だ。また、避難所生活が長くなる場合にはノロウイルスやロタウイルスなどウイルス性の胃腸炎が流行しやすくなるため、こまめに手洗いしよう。

4.土ほこり、粉じん
 土ほこりが目に入ることで結膜炎になったり、口やのどに炎症を引き起こす可能性がある。粉じんを長期間吸い込み、肺に蓄積すると「じん肺」と呼ばれる肺の病気を引き起こし、せきやたん、息切れの症状が進行すると酸素吸入療法が必要となる。特に清掃作業など、土ほこりや粉じんが舞うような環境ではマスクを用いることが必須だ。

5.低体温症
 日に日に寒くなってきている。熱が生まれない状態、熱が奪われやすい状態になると低体温症が起こりやすい。これは特に高齢者や子どもに多いといわれるが、手足の冷え、震えで始まる。重症になると意識がもうろうとし、呼吸の停止、不整脈などを来たし死に至ることもある。厚着をすると同時に体温を上げるための栄養・水分補給をすることが必要だ。

6.一酸化炭素中毒
 屋内や車庫など換気の良くない場所でストーブなどの燃焼器具を使用したり、炭や木炭などの燃料を燃やすと一酸化炭素中毒になり得る。必ず、燃やすときには換気に気を付けてほしい。一酸化炭素は無臭無色で気付かないうちに死に至ってしまう。

7.不安や心配などのストレス反応
 重いストレスにさらされると、程度の差はあれ、誰しも不安や心配になるものだ。まずは休養や睡眠をできるだけとるように心がけてほしい。ストレスの反応の多くは時間の経過とともに回復する。不安を和らげる呼吸法に「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う。朝夕5分ずつ」というものがある。ぜひやってみてほしい。

 今回の台風で幸いにも被災しなかった人でも、いつ避難所生活をしいられるか分からない。台風19号は、物資をそろえるだけでなく生活面においても知識を深め、いつ訪れるか分からない災害に備えておくべきことを強く意識させられる出来事だった。

参考:
厚生労働省 被災地での健康を守るために
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster.html

文責:医師 木村ゆさみ

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