終わってみれば先週の新潟記念同様、目にも鮮やかな大外一気。コースの特性をフルに生かした馬が勝つ。セイウンワンダーの勝ち方は、まさに「教科書通り」だった。
スタートがひと息だったことも手伝い、道中は無理をせず最後尾を追走。4角でも15番手のままだった。ただ、そこからが鞍上・岩田騎手の度胸の良さ。迷いなく最も馬場のいい外ラチ沿いに持っていくと、がむしゃらに追いまくり、メンバー唯一の34秒台の上がり(3F)で全馬まとめてぶったぎった。勝ち時計は1分35秒4だった。
殊勲の岩田は「出遅れたので焦ったが、もう開き直っていいところを通ろうと…。きょうは馬の力で勝たせてもらった。それでも、大外だったので観客の声援がよく聞こえて気持ちよかった」と破顔一笑だ。
セイウンの勝ち方で思い出すのは2005年、同じように大外一気を決めたショウナンタキオンだ。当時は馬場状態も道悪(重)。タキオンは4角17番手から大外に持ち出すと、末脚をフル回転させ、全馬まとめて面倒みた。道悪の新潟2歳Sの制し方…つまり、「教科書」は3年前にあったというわけだ。偶然か必然かは神のみぞしるところだが、この“完全コピー”こそが、最大の勝因だったのかもしれない。
「距離は二千ぐらいまで持ちそう。脚元はしっかりしているが、大事に使って行きたい」と領家師。次走は未定だが、口ぶりからはマイル路線の朝日杯FSではなく、来年の皐月賞を最大目標に調整していきそうだ。
「新潟の最終週は外差し」の格言を地でいくような結末。前が止まらない高速馬場が長らく続いた今年の新潟だったが、クライマックスも“らしい”終わり方になった。