FDX社は23日、成田空港で北太平洋地区担当の氏家正道副社長らが会見。「ご迷惑をおかけした」などと謝罪の言葉を述べたものの、事故機の積み荷や飛行歴、機長の操縦歴といったきわめて基本的なデータすら明かそうとしなかった。「調査中のため話せない。お答えできない」の一点張りで、事故原因究明に消極的な姿勢をみせた。
これだけの死亡事故を起こしながら、積み荷や機長の操縦歴すらすぐに把握できないとはにわかに信じがたい。また事実であれば逆に、大手航空貨物企業の危機管理能力が問われる。
同社はドイツのDHL、米UPSと肩を並べる世界の総合物流トップ3。会見では、同社の業績低下による労働環境の変化が事故に起因しているのではないかとの質問もぶつけられたが、氏家副社長は「労働時間はいままでと変わらない」と因果関係をきっぱり否定した。個々のパイロットの細かい労働環境については即答できるのに、なぜ基本中の基本といえるデータは「調査中」なのか。機長の操縦歴などについては「プライバシーの管理が厳しい」とも話した。
一方、事故機が着陸する直前の数分、風速や風向きが急激に変化する「ウインドシア」が強まっていたことが分かった。機体を下降気流などが直撃し、制御できなくなった可能性が高まっている。空港では、おもに北西から風速20メートル前後の強風が吹いていたが、事故前に到着した10機はいずれも無事。事故4分前の日本貨物航空のジャンボ機などが強風下のなか通常通りに着陸した。
運輸安全委員会は気象データやフライトレコーダー(飛行記録装置)を解析し、着陸直前の気象変化や、それに伴うFDX機パイロットの操縦状況を詳しく調べる。