木村氏が続ける。
「今指摘されているのは、東日本大震災の震源域の北と南です。当時の震源域のストレスは取れたが、北側と南側はストレスが強まっている。つい最近も、北側で最大震度5の地震があったばかりで、十分に注意した方がいいと思います」
木村氏は、近々に予想される巨大地震として、東日本大震災震源域の南側、伊豆小笠原諸島を震源とした巨大地震ついて、規模をM8.5、発生時期を2012年±5年とし、その時が刻々と近づいていると予測している。
また同時に、
「太平洋プレートの拡大軸である“東太平洋海膨”を中心として、今世紀の巨大地震が太平洋の西と東とで交互に発生してきたことがわかる」
としており、昨年4月2日に南米チリ沖で発生したM8.5地震の“次の巨大地震”にも注目している。
今世紀、環太平洋で発生したM8以上の巨大地震を見れば、2000年に太平洋の西側(ニューギニア方面)でM8の大地震が発生し、翌年には東側のチリ付近でM8.2の大地震が発生。その後、'03年と'07年には西側に戻り、北海道の十勝沖を震源としたM8.0とM7.1の地震が発生している。
さらに'09年に同じ西側のニュージーランド北方で発生したM8.1の地震後、'10年にチリ地震(M8.5)が東側で発生し、多くの犠牲者を出した。
その翌年に東日本大震災が発生し、'13年に同じ西側(ニューギニア方面)でM8.1、そして昨年4月、東側のチリ沖でイキケ地震(M8.2)が発生している。
こう見てくると、やはり太平洋の周囲をキャッチボールしているかのように、巨大地震が発生していることがわかるのだ。
しかも今年に入り、日本には影響がなかったものの、気になる地震が起きている。
「日本時間の3月30日8時49分頃に、パプアニューギニアのニューブリテン島東部の沖合を震源として発生したM7.7の地震です。その後、トンガ沖でもM6.8の地震が3度起きている。専門家の間でも、この地域で大きな地震が発生した際、日本の太平洋側や伊豆小笠原海溝、日本海溝などでも大きめの地震が起きることがあるとされ、実に不気味な兆候です」(前出・サイエンスライター)
防災ジャーナリストの渡辺実氏の話。
「3・11の直前の状況と似ているのは事実です。ただし今回のイルカの打ち上げが、それに当たるかどうかは神のみぞ知るでしょう。言えることは、M8クラスの大地震がそろそろ起きても不思議はないということです」
現時点で巨大地震との繋がりを示す科学的根拠はない宏観異常現象。しかし、先人たちから引き継がれてきた言い伝えや、現に発生している例もあるだけに無視はできない。