本命はいまや海外にまで、その名をとどろかす希代の名牝ウオッカを前にしても、一歩も引かぬところまで成長を遂げたディープスカイだ。
「キャリアでいうなら古馬に分があるが、使いながら変わっていくという“伸びしろ”の点では4歳のウチの馬。ジャパンCの時のウオッカは何か終わっていた感じがしたように、牝馬は連続して走らせるのは難しいからね」とバッサリ斬り捨てたのは昆調教師。
「昨秋の天皇賞の時点で、“来年になればウオッカを逆転できる”という自信が自分の中で芽生えた。だって、勝ちにいく競馬をしてあの着差(ハナ+クビ差)だろう」。
その自信は今春のローテーションに顕著に現われている。ウオッカが進む道を遮断するように、あえて安田記念→宝塚記念をチョイスしてきた。
復帰初戦の大阪杯はドリームジャーニーに出し抜けを食らったが、昨春にNHKマイルCを制したのがデビュー10戦目、ダービーが11戦目だったことを振り返っても元来が使い込んで良くなるタイプ。むしろ、休み明けを思えば、及第点を与えられる内容だった。
「前走でも自分の中では“もうやりすぎくらいやった”と思えるほど追い切りをこなしたが、この馬は反発力がものすごい。だから1回の競馬にはとてもかなわない」
実際に、実戦を使われた上積みは計り知れず、「雰囲気、馬体の張りが全然違う」とニンマリ。「前走はコース中心で息をつくったが、今回は坂路中心に強い負荷をかけてきた。これだけのケイコができていれば、マイルに対応できるゲートの出や、瞬発力が自然と備わる」と力説した。
「今回でどっちが強いのか分かるでしょう。この馬は凱旋門賞に行かないとホントもったいない。日本馬として最高の称号を持たないとね」
伸び行く4歳馬ディープスカイが世代交代を果たす。