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【雅道のサブカル見聞録】どうなる? 『NOIR (ノワール)』が実写ドラマ化

 今月12日、映画『スパイダーマン』シリーズなどを手がけた監督サム・ライミが製作総指揮という立場で、2001年にテレビ東京系列で放送されたビィートレイン制作のオリジナルアニメ『NOIR (ノワール)』の実写ドラマ化に着手するという話がインターネットのニュースサイトで報じられた。しかも、ドラマシリーズ企画をケーブルネットワークのStarzが、サム・ライミと彼の作品で長年タッグを組んでいるロバート・G・タパートから買い上げたという情報もあるので、日本でのお披露目もそう遠くない話かもしれない。

 しかし、肝心の作品内容の方はどうなるだろうか。こういったマンガやアニメの実写化の場合、国内外問わず、原作とイメージがかけ離れたものが作られがちだ。記憶に新しいところでは、トンデモ要素満載で有名な『ドラゴンボール・エボリューション』。今回の実写化予定の『NOIR』は、高い戦闘能力をもつ記憶喪失の少女“夕叢霧香”と、女性ながら、殺し屋として名を馳せる“ミレイユ・ブーケ”の二人が互いの利害のもと暗殺ユニット“NOIR”を結成し、ミッションをこなしていくという裏社会系の作品。時々並外れた身体能力の描写があるものの、基本的に拳銃による戦闘シーンがメインだ。その点は実写作品としても作り易いかもしれない。舞台はヨーロッパとなっているが、アメリカで制作する関係上、舞台がアメリカに変更される確立は高いだろう。その辺の変更点はしかたないとして、肝心の二人の関係性はどうなるのか。

 この作品、話が進むにつれ霧香の記憶に関わる大きな組織が現れ、数々の危機を乗り越えていく内に真のパートナーとしての絆に目覚めていくという展開なのだが、俗にいう“百合”描写的な表現が時々垣間見える。この辺の微妙な関係性をどこまで表現できるのか。また、極端に少ないセリフ数と、その静かな雰囲気を盛り上げる梶浦由記のサウンドも本作の魅力だ。サブカル要素の強い作品が得意なサム・ライミが監督ならば問題なさそうな気もするが、製作総指揮となると、その辺の細かい点にまで、作品制作に関わる時間も取らないと思われるので多少の不安感がある。いっそのこと、同じくサム・ライミが製作総指揮で参加したハリウッド版『呪怨』で日本版の監督、清水崇がハリウッド版にも監督として参加したように、原作版の監督である真下耕一に指揮を取って欲しいが、実写とアニメの違があるからそれは望めないだろう。それにキャストの方もミレイユはいいとして、霧香に適任の女優がいるかどうかも気になるところ。小柄で華奢な東洋人タレントを探すだけでも骨が折れそうだ。かといって中国系アクション女優を抜擢されて痛快なアクションモノにされても、雰囲気ブチ壊しで興ざめだ。まあ、それでも日本で実写化されるよりは遥かにマシだろうが。

 正直、実写化ならば同じビィートレイン制作の『MADLAX(マドラックス)』の方が向いているような気もするが、『NOIR』は元々映画で一時期流行した“フィルム・ノワール”と総称される裏社会を舞台とした犯罪映画の数々からヒントを受けて制作された作品。それが逆輸入されて海外で実写化されるのはそれなりに価値があると思う。そして、このドラマが日本で放送されヒットすれば、最近減少気味なダークなテイストのあるオリジナルアニメも再び放送される機会に恵まれるかもしれない。その辺の期待も考えると、この実写化には個人的には成功してもらいたい。(斎藤雅道)

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